劇場公開日 1996年6月1日

「全体的に質の高い文芸作品」いつか晴れた日に Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0全体的に質の高い文芸作品

2013年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

総合:80点
ストーリー: 80
キャスト: 75
演出: 85
ビジュアル: 80
音楽: 75

 原作はジェーン・オースティンの純文学。そのため物語はよく出来ていて、一つ間違えばただの恋愛ものや貴族の醜聞ものになりそうなのものだが、しっかりと格調高く深く掘り下げられたものになっている。単純な男の好き嫌いだけではなく、当時の社会背景も含めていくつかの波乱を伴いながら、真摯に当時の女性の生きかたを描こうとしている。それは女性の自由な生きかたのなかった時代において、理想的な相手との恋愛の自由は、人生を左右する真剣な恋愛なのだ。それなのにどうにも自分の思うようにいってくれない姉妹の恋の行方に、最後まで目が離せなかった。
 物語の良さに加えてセットや衣装も良く、それをイギリスの瑞々しい田園風景を背景に美しく撮影されていた。出演者も迫真の演技で、本気でときめき悲しみ落ち込むといった感情が伝わってきた。

 同じジェーン・オースティン原作を映画化した「プライドと偏見」と良く似た作品で、こちらのほうも美しく瑞々しい作品だった。原作者が同じだからといって製作者や出演者が同じわけではないのだろうが、両方とも雰囲気や演出のやり方が似ていて良く出来ている。あまり似ているので思わずそちらのほうも思い出した。

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Cape God