「アメリカの深い闇」タクシードライバー おまつさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカの深い闇
ん十年ぶりに観た。確かな後味の悪い記憶が残っていたので恐る恐る観た。やっぱり今観てもそのインパクトは相当で暗い気持ちに陥ってしまった。狂気に満ちたトラビスを演じるデ・ニーロには今更ながら戦慄してしまう。そして幼さを消し去ったジョディー・フォスター、どんな脇役をやらせても存在感が半端ないハーベイ・カイテルがその緊張感を助長する。
記憶になかったのはハッピーエンドまがいの終わり方。あまりにも後味が悪いので、さすがのマーティン・スコセッシ監督も興行収入を考慮して最後に主人公を英雄化したのかなとも一瞬思ったりもしたが、これって監督のアメリカ政府に対する強烈な皮肉なんですよね?ベトナム戦争が生んだこの殺人鬼をヒーローにまつりあげることをどれほどのアメリカ人が許容できますかって。想像できないほどの深い闇をこの国に落としたベトナム戦争。この作品にも我々日本人にはとうてい理解しきれない部分が多分にあると思います。
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