劇場公開日 1963年8月3日

「脱走のための作戦を知る面白さがある。映画のテーマ曲も良い。でも、映画全体のスタンスに疑問」大脱走 p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5脱走のための作戦を知る面白さがある。映画のテーマ曲も良い。でも、映画全体のスタンスに疑問

2025年4月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

冒頭に「この映画は実話を再現している」とテロップが出るので、そう理解して映画を見始めた。トンネルを3本掘るという作戦を立てること、脱走を指揮するトップがいること、最初に脱走者数を250名と宣言することなどは面白いと思った。
トンネルを掘る時の土をどうごまかすか問題や、トンネルの入り口をどう隠すか問題も実話なので、なるほどと思った。

視力を失った同僚に対して、足手まといになるのを覚悟して、彼を助けながら脱出し逃亡するところがこの映画でいちばん良かった。それから、スティーブ・マックイーンのバイクシーンもやはり見どころのひとつだろう。

実話なのだから、話の展開に不満を言ってもしかたないけど、ドイツ側が捕虜に対してとても寛容な扱いをしていることに驚く。トンネルを掘るための道具や資材、身分証を偽造するための道具や変装する服やカバンなどが手に入るのが信じがたい。
脱走を企てた捕虜に対する罰が独房に入れるだけというのも「また脱走してください」と言ってるようなものだと思った。

映画全体として、この大規模な脱走をある意味称賛しつつ、犠牲者を哀悼しているのだろうが、そのスタンスが正しいのか疑問を感じた。脱走者がドイツ国内で後方をかく乱するという意義に対しても、賛同しにくいと思う。密造酒を作って米国の独立記念日を祝うことさえ許しているし、収容所にいるのが耐えられないというような扱いをドイツ側はしていないのだから、脱走して死の危険を冒さなくても、と思う。

p.f.naga
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