「最も硬派でプラトニックな暴力に満ちた映画」大砂塵 悠さんの映画レビュー(感想・評価)
最も硬派でプラトニックな暴力に満ちた映画
プラトニックな暴力を描くには男より女が適している。これは差別ではない。女と女の多くの男を巻き込む代理戦争だ。
冒頭の小粋な雰囲気はどこへやら。中盤から終盤にかけて目も当てられぬほどの人間臭い惨事。
本作は現代の人間にとって、特にアメリカ人に見せると移民映画と言われそうだ。しかし、多くの移民映画がそうであるように、本作は人間の不寛容さ、怖れ、想像力の欠如がいかに滑稽かつ残虐なのかを描き切った!素晴らしい!!
独特な編集や間の取り方は見たことのない魔法だった。冒頭の逆光の馬と人のショットは息を呑ます美しさ。なぜか妙に絵画的で、しかも演技は演劇的な面白さに満ち、音楽的な愉快さもありながらどうしようもなく映画だった。
一生忘れたくない、忘れられない映画だった。
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