「唯一無二の泣けるSFアクション映画の傑作ですね。」ターミネーター2 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
唯一無二の泣けるSFアクション映画の傑作ですね。
「午前十時の映画祭15」ゴールデンウィーク興行はSFアクション映画の金字塔『ターミネーター2』。
グランドシネマサンシャイン池袋さんにて鑑賞。
『ターミネーター2』(1991年/137分)
1984年公開の前作から7年。
遂に待望の続編公開で公開当時は手ぐすねを引いて待っていましたね。
本作の最大の見せ場は新型ターミネーター(T₋1000/演:ロバート・パトリック)の変幻自在な液体金属の表現。すでにジェームス・キャメロン監督の前作『アビス』(1989)で未知の生命体を最新CG技術で表現、驚嘆させられてましたが、本作ではさらにスケールアップ、椅子から転げ落ちそうになりましたね。
まだCGが高額だったため、いままで通りの特殊メイクやアニマトロニクスなどアナログ撮影も併用しながらもシームレス、創意工夫している点も良いです。そして、ここぞという時の高額CG登場ですから、メリハリもあってより強く印象に残りますね。
視覚効果面を語られることが多いですが、キャメロン監督自ら手掛けた脚本も実に良いですね。
前作の伏線をすべて回収しつつ、前作は畏怖の対象だったT₋800(演:アーノルド・シュワルツェネッガー)が頼もしい味方へと観客誰もが驚いた発想の大転換、そして彼とジョン・コナー(演:エドワード・ファーロング)の心の交流から育まれる親と子に近い絆や、コンピューターと人間の共存共栄可能な未来の示唆などのメッセージも描き、ラストは映画史に残る人間以上に人間らしいサイボーグの悲しい別れを活写。唯一無二の泣けるSFアクション映画の傑作ですね。
改めて観直すと、シリーズとしては本作で完璧に多少の余韻を残しつつ綺麗なかたちで幕を閉じていますね。
以降『3』(2003)、『4』(2009)、『新起動/ジェネシス』(2015)、『ニュー・フェイト』(2019)とサーガが続き、どの作品も公開時にはお祭り気分で楽しましてもらってますが、人気IPの宿命でしょうか、なかなか終結する空気はありませんね。もちろん新作が公開されれば手ぐすねを引いて待ちますが。