ダーティハリー4のレビュー・感想・評価
全4件を表示
被害者の人権は誰が?
姉妹がパーティに誘われて行ったところ、グループに回されてしまい、妹が廃人に。画家をしている姉が復讐するため、犯人グループのメンバーを一人一人殺して行く連続殺人事件が発生。やりすぎの捜査で上司から煙たがれていたハリー・キャラハンがサン・パウロに出向したところ、殺人事件とその姉と出くわし、事件解決に乗り出すストーリ―。
イーストウッドの反権力、暴力の連鎖の悲劇性、正義の名を語った暴力の否定を描いた作品群を知ってしまうと、単純には楽しめない「ダーティ・ハリー」シリーズ。次から次へと事件や銃撃が起こり、深く考えずに、相手を倒すのアクションを爽快に感じるのなら良い作品かと。
上司との軋轢、刑を免れた悪漢との戦い、西部劇ともとれる相手との銃撃シーン、逃走する相手を足や車で追跡するチェイス、オートマグを手にするシーン、最後の敵2人に対峙するシーン等、カッコいい。
ただ、イーストウッドは、単純に正義の側が悪を倒す映画に、もう限界を感じていたはず。彼の信条に反するはず。どの人間の中にも悪があるという視点がよりメインになってきているだけに、最後は姉を警察に突き出すことをしなかったのだろう。
44オートマグ
この映画でキャラハンはM29から44オートマグに武器を変える。この44オートマグはオレが初めて買ったエアガンで、当時はBB弾の前に主流だったつづみ弾を使っていた。ダーティハリーシリーズで初めて見たのもこの4だった。
そんな思い出深い映画なのだが、内容は何一つ覚えていなかった。
レイプの復讐鬼と化した美女が一人ひとりレイプ犯を殺していく、そんな女の深い業を描いた映画だったので、当時童貞高校生だったオレが理解できないのは当然で、早くオートマグ撃たねえかなとそれくらいしか気にしていなかったのではないだろうか。
クライマックスのメリーゴーランドの光と影の幻惑的なシーンが素晴らしく、シルエットで立ちはだかるキャラハンがとてもかっこよかった。ただメリーゴーランドがとても暗くてもうちょっとキラキラしていてもよかったのではないかと思った。ただそうなると女が逃げ隠れしづらいのかもしれない。
キャラハンが老人ホームのバスを、老人を乗せたまま乗り回して犯人を追いかける場面など愉快な場面がたくさんあった。
“正義”の意味を考えさせられる
イーストウッドが初めて自らメガホンを取ったシリーズ第4作。マフィアのボスに容疑がかかっていた娼婦の殺人事件の捜査において、警察上層部にやり過ぎを咎められたハリーは、サンフランシスコ郊外の小さな港町サンポール行きを命じられる。そこで起こっていた連続殺人事件の捜査をするうちに、ハリーはジェニファーという女性に出会うが、彼女が事件に関わりがあることが判り……というストーリー。
今回のハリーは、個人の“復讐”が前面に押し出され、“正義とは?”という疑問を観客に突きつける。シリーズ第1作で、殺された少女の人権よりも犯人の人権を重視する法律家に「そんな法律は間違っている」と怒りをぶちまけたハリーの葛藤をさらに掘り下げたイーストウッド監督らしい大人向けの作品に仕上がった。83年の公開時、大ヒットを記録し、イーストウッドは数年ぶりにナンバーワン・マネーメイキング・スターに返り咲いた。
全4件を表示