劇場公開日 1984年4月14日

「【若気の至りでは済まない悪事に対する相応の報い。ハリー・キャラハンは、真の悪と、哀しみによる悪の違いが分かる男なのである。】」ダーティハリー4 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【若気の至りでは済まない悪事に対する相応の報い。ハリー・キャラハンは、真の悪と、哀しみによる悪の違いが分かる男なのである。】

2022年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

幸せ

ー 吉田秋生の「河よりも長くゆるやかに」の中で、主人公の高校生と彼を密かに想う女子高生とが交わす台詞がある。
  ”あたし 昔 むりやりやられたことあんだよね・・”
  あんなこと 人間のすることじゃないよ”

  ”・・忘れちゃえよ 悪い犬にかまれたとおもって”

  ”そんなこと言わないでよ”
  ”無神経ね あんたたち男って”
  『じゃあ あんたは犬にかまれたことを忘れられるの?』ー

◆感想

 ・今作は、上記の様な過去が物語のベースとしてあり、それにより傷ついた姉妹(妹は神経性ショックで無表情のまま椅子に座ったままである。だが、姉の言葉には涙を流す。)の姉(ソンドラ・ブロック:ご存じのようにイーストウッドと良き仲になり、長く一緒に暮らした方である。)が、自分達の人権を無視し、尊厳を傷つけた男女に対し、苛烈な報復を行う物語である。

 ・この作品が心に響くのは、ラストシーンでのハリー・キャラハンの姉に対する態度と言葉である。
 - 彼の、傷ついた者の心情を理解し、その側に立つスタンス。
   イーストウッドの多くの映画の根底に流れる、尊き思想である。-

<シリーズ中、イーストウッドが唯一監督を手掛けた作品。
 イーストウッドの嗜好が反映されたノワール的な空気に満ちている作品でもある。
 ハリー・キャラハンの様々な悪に対しての対応の仕方、考え方、行動が個人的には好きである。>

NOBU