「聞こえ方が違う悲愴と田園・・・」ソイレント・グリーン A.Camelotさんの映画レビュー(感想・評価)
聞こえ方が違う悲愴と田園・・・
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昔はこういうハードなSF映画がいろいろあったなぁ。これは中でも強烈なディストピア映画。あらためて観ると、記憶と違っていて、あれれ?と。最後にチャールトン・ヘストン演じるソーンがもっと大声で「海ももうダメなんだ!」と叫ぶイメージだった。頭の中で勝手に誇張していたらしい。
”ホーム”のシーンがやっぱり衝撃的。悲愴交響曲と田園交響曲がすごく合っているのだけれど、全く違う意味合いをもって聞こえてくる。豊かな自然はもはや存在しない、田園風景なんて、もう見ることはできないんだよ、こんなに美しかったんだよ・・・。最期に美しい映像と音楽で送り出す・・・子供の頃に観て魂を揺さぶられたが、やはりなんとも言えない気持ちになった。
それと、超々格差社会が描かれているのも、興味深いのだけれど、女性が家具としてマンションのしつらえになっている・・・。これもちょっとした衝撃。エアコン完備みたいに愛人完備って・・・。そういうマンションに警察官であるソーンが入っての職権乱用ぶりがひどいが、そうなって当たり前の超格差、なんともひどい主人公だがそこを徹底してこその映画。
エンドロールに再び田園交響曲と大自然の映像、それとあの品の良いアルファベットフォント!。救いようのないディストピアで終わって、品位あるエンドロールで今度は、「今はまだ大丈夫、自然を守りましょうね」と訴えてくる。実に素晴らしい。SFの鑑のような映画のひとつ。
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