「冗談半分、本物半分」戦略大作戦 parsifalさんの映画レビュー(感想・評価)
冗談半分、本物半分
おふざけの戦争映画と思えば、まあいい線を行っている。あまりやる気がないアメリカ兵士の部隊。ケリーが50㎞離れたクレルモンの銀行に金塊の山があることをドイツ将校から聞き出し、志願兵を募って奪いに行く物語。普通に考えて、上司の命令なしに勝手に戦闘すれば罰則、このような動機であれば軍法会議物か。それをわかっていて、ハチャメチャな映画を作ろうってこと。
テリー・サバラスの軍曹はまとも。イーストウッドのケリーが言い出しっぺで金塊奪取に積極的。会計係は、とにかく金に目ざとく、ドナルド・サザーランドの戦車隊のリーダーは、ちょっとイカレタ楽天家。味方の爆撃による誤爆の恐れがある中、都合よく敵軍をやっつけて突破。地雷原では、より多い敵兵を全滅させて銀行があるクレルモンへの街へ。
見どころは、米軍のM4シャーマンと独軍のタイガーⅠ型の戦闘シーン。映画では、本物のタイガーⅠ型の代わりに偽装した戦車が使われることも多いので、心躍るシーンだった。確かにタイガーは戦場で恐れられていたはず。
タイガーが一両残った所で、シャーマン戦車が動けなくなって、戦車の搭乗員相手に交渉にいくシーンは、明らかに西部劇の敵と対峙するシーンを意識。遊んでいるのだ。これは西部劇を戦争映画に作り替えて、あまりシリアスになりすぎないようにコメディタッチにした映画。だから、自分たちに都合がよいシーンが満載。
しかし、金塊の山分けを条件に、ドイツの搭乗員に戦闘をやめて銀行を砲撃するように交渉するのはないよね。ここに至るまでに、お互いの仲間が死んでいるのに。仲間よりも金が大事っていう価値観を広めようとしていることになる。第二次世界大戦で一番儲けたのはアメリカ。戦争は軍産複合体にとっては金が生る木。そこに、アメリカを動かす闇の勢力の本質が差し込まれているようで、自分は醜悪に感じた。