「珍品のライセンス」007 カジノ・ロワイヤル(1967) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
珍品のライセンス
シリーズ番外編。1967年の作品。
以前シリーズ全レビューした時、本作だけは見ていなかった。
WOWOWでシリーズ一挙放送の時もナシ(『ネバーセイ・ネバーアゲイン』はやったのに…)、NetflixやU-NEXTにもナシ(他の配信にはあったそうだが)、それどころか近くのレンタル店にすら置いていない。
見たくても見れない、私にとっては“幻の007”。
先日、BSでの吹替放送を録画して鑑賞。
遂に見れた!
その感想は…
前々から“珍品”とは噂に聞いていたが、噂に違わず。
見れたのは嬉しいが、これをずっと見たいと思っていた自分がちと悲しくなった。
こちらもちゃんとイアン・フレミングの小説を原作にしていながら、ダニエル・クレイグ版とは全く別物。
原作は読んだ事無いが、それでなくとも分かる原作トンデモ改変。『ダイヤモンドは永遠に』の時、敵をスペクターに改変して原作側は怒りながら、本作はOKなの…??
あ、『カジノ・ロワイヤル』だ!…と、ボンドの初任務、ハードでスリリング、ヴェスパーとの悲恋を期待しようものなら…、まあ敢えて言わないでおこう。
各国の諜報員が殺される事件が続き、Mらは引退したボンドに復帰を頼む…。
…という一応ストーリーはあるのだが、それも形だけ。
実際の中身は、ストーリー性完全破綻、登場人物たちの意味不明な言動、笑えぬギャグや珍シーンの連続…。
一応ル・シフルとのバカラ対決やヴェスパーも登場するが、もうしっちゃかめっちゃか。
“物語”としての機能は果たしていない。おふざけおバカムービー。
これが噂の、007パロディ・コメディの衝撃か…!
キャストだけはシリーズ最高級。
ピーター・セラーズ、デヴィッド・ニーヴン、オーソン・ウェルズ、ウディ・アレン、初代ボンドガールのウルスラ・アンドレス…。
デボラ・カー、ウィリアム・ホールデン、ジョン・ヒューストン、ピーター・オトゥール、アンジェリカ・ヒューストン、ジャクリーン・ビセット、ジャン=ポール・ベルモンド…。
メインから助演、ゲスト出演に至るまで、見よ!信じられないくらいの超豪華&ビッグネーム揃い!
そして信じられないくらい、皆がおバカ演技を披露している。
考えによっちゃあレアかも…??
007が7人も登場。正確には、本人と“007”を名乗る人物が6人。
007が7人居るのなら、監督も5人。出演もしている巨匠ヒューストンも。
が、これがいけなかった。全く以て連携していない。
当初はイオン・プロ同様、本格スパイ映画として作るつもりが、様々な事情により断念。パロディに切り替え。
コロムビアはコロムビアなりに、奇を狙ったパロディ・コメディでイオン・プロに一矢報いる気でいたかもしれないが…、
言うまでもなく本家には遥か遠く及ばず。番外編としても『ネバーセイ・ネバーアゲイン』の方が面白い。
やっぱり『007』は、時々ベタでチープになろうとも王道スパイ活劇の方がいい。
それに、『007』のパロディなら『オースティン・パワーズ』があるし。
その『オースティン・パワーズ』の原点、
バート・バカラックの軽快な音楽、
二度と見る事は出来ない超豪華キャストと“007”に免じて、
超甘々の採点2!
本来だったら…。
あ、近大さん
ついにご覧になってしまったのですね〜(笑)
私、これ観た直後にAmazonで原作中古本を発注しましたw
(お〜むかしに読んだことはあるのだけど、まったく覚えていない)
まぁ、昔はシリアス系役者、大物名優は日常的にも自分のキャラクターを崩す事なく「スター」に徹してましたからね。
そんな彼らがコントを演るというだけで笑いが取れたのでしょうねぇ。
時間の波に晒されて耐え得る作品ではなかったですね(笑)
勿体ないですよねw