「メル・ブルックスのラブ&ピースな笑いと共にあらん事を」スペースボール 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
メル・ブルックスのラブ&ピースな笑いと共にあらん事を
不名誉な称号か、名誉な称号か…?
パロディーの帝王、メル・ブルックス。
そんな彼が1987年に手掛けたのは、あの壮大な某スペース・オペラのパロディー。
ワープした昔、遥か彼方の銀河系で…
大気が薄くなったスペースボール星の大気を濃くしようと、悪のスクルーブ大統領は隣星のドルイデアに侵攻を開始。
一方その頃ドルイデアでは、結婚を嫌がったヴェスパ姫が式直前で逃げ出し、そこをスペースボール軍に捕まり掛かる。
ドルイデアの国王の頼みで宇宙の流れ者ローン・スターとその毛むくじゃらの相棒バーフが救出に向かう…。
設定や主な話は勿論、あのキャラこのキャラ。
あのメカニックにあの光の剣の武器、果てはあの未知なる力まで。
よく本家本元のあの人が怒らなかったなぁ、と。
何でもこのパロディーの名匠のファンらしく、快諾したとか。
その決断、ナイス!
ただのおバカパロディー・コメディではなく、ちゃんと娯楽作になっている。
本家風の宇宙を舞台にした冒険あり、一応悪vs善の闘いあり、仄かなロマンスあり。
本家と同じくILMがSFXを手掛け、なかなか本格的!
だけどやっぱり、たっぷりの笑い!
80年代を代表するコメディ・スターたち!
メル・ブルックスは監督/製作/脚本の他に、ヒトラーをおちょくった悪の大統領と未知なる力の賢者様の一人二役。
ジョン・キャンディは特殊メイクとふっくら体型と陽気な性格でハマり役の半人半犬。
でも一番ウケたのは、ダース・ベ…じゃなくて、ヘルメット役のリック・モラニス!
見た目のインパクトとギャップ、とんちんかんな言動、何だか彼が主役にすら思えるくらい気に入ってしまった。そうそう、彼が現れたら股間に気を付けよ!
他の作品からのパロディーも沢山。
びっくりしたのは、スペースボール軍が本作『スペースボール』を見て敵の出方を探るという荒業!
こ、こんなの考え付かなかった…。ス、スゲェ…!メル・ブルックス!
今のハリウッド・コメディのように下品ネタ、お下劣ネタ、下ネタはナシ。
健全なる良質おバカコメディ。
最後はラブ&ピース。
メル・ブルックスの笑いと共にあらん事を。