劇場公開日 1957年5月21日

「三人の男がおもしろい」素直な悪女 雨音さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5三人の男がおもしろい

2024年2月11日
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鑑賞方法:VOD

Bバルドーを観るのが目的だったが、特に感動や驚きはなくわりと地味な印象の映画であったものの、気楽に観るのには悪くなかった。彼女はもちろん魅力的だったが、翻弄される男たちにもかなり焦点が当たっていて、そちらがなかなか面白かった。

一見地味に見えたミシェルには、なかなかやるじゃない!と感心した。
彼女のようなふわふわした人間をつなぎとめられるのは、彼のように地味で愛情深く頑固なものでしかないわけだ…。奔放な人間に意見を聞いたり説教してもしかたがない。無理矢理でも引っ張っていく。運命を共にすると決めた以上、生きるも死ぬも一緒という感じで、この男の意志は強く、実行力があった。
奔放人間の側にしても、そういう強制力でもなければ自分の居場所など到底決められない。

アントワープはもうどうしようもない(こんなタイプが実際には一番多い?)。でもエリックおじさんの方はなかなか興味深い。単なる好色金持ちと思いきや、世の中と人生を知る、真にこなれた大人の男だった。ジュリエットの中に、自分が好きだけれど否定してきたもの、を見出す。そして自分自身も刺激され、ザワザワと動揺はする。最後までスマートで思慮深く判断も現実的だったが、ザワザワ動揺するところがピュアで、何とも大人可愛い。

あま・おと