スケアクロウのレビュー・感想・評価
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すごくよかった
以前にWOWOWで見て、スクリーンは初めてだ。記憶の中ではジーン・ハックマンが死んで終わる気がしていたが二人とも死なず胸をなでおろす。アル・パチーノは病院で意識不明のまま終わるけど死ななそうだ。人生のままならなさを端的に描いており、見終わって深いため息が出る。人生が苦しいのはいつまでもだらだらと終わらないことだ。
ジーン・ハックマンがやたらと女にもてる。彼は余計なことばかりしてトラブルを招く。ヒッチハイクなど人の親切をあてにしているのに「オレは人を信用しない」と言う。旅費をケチるといいことない。万引きが失敗して安心した。アル・パチーノが刑務所で掘られそうになってひどい怪我をした時、めちゃくちゃ頼りになる。その男気にしびれる。さらに刑期が延長するのではとハラハラしたが大丈夫だった。
アル・パチーノの元恋人の5歳になる子どもが死んだという嘘がひどい。あれはない。彼は特にケンカしていないのに一緒に投獄されて、とんだとばっちりだ。最後はノイローゼになるし、散々だ。勝手に蒸発したらダメだろうけど、元恋人にお金を送っていたのにちっとも感謝されない。仮にも子どもの父親なのだから、もうちょっと尊重してあげて欲しい。
男の友情を描いたロードムービー
午前十時の映画祭で鑑賞してきました。
ジーン・ハックマンとアル・パチーノ共演のロードムービー。
実はテレビを含め全くの初見だったのですが、いや~本当に見て良かったです。
男の友情というか、現代にはない熱い絆のようなものが感じられました。
ジーン・ハックマン演じるマックスは喧嘩っ早くあまり関わりたくないと思う人物ですが、一方アル・パチーノ演じるライオンは人の良い人物で、この全く性格の違う二人を見せるオープニングが秀逸でした。
風が吹きすさび砂塵が舞う平原でヒッチハイクをする二人。人を信用しないマックスはライオンに声をかけられても無視。車が来れば我先にと走り、ライオンには止まってろと自分のことしか考えない。でもライターが切れタバコを吸えないマックスにライオンは親切にも最後のマッチを提供し、交流が芽生える。
出所してピッツバーグで洗車屋を始めようとするが、その前に妹に顔を見せに行くマックス。だがそこでもまた喧嘩っ早い性格が災いし、二人とも1ヶ月収監されてしまう。ライオンは巻き添えみたいなものだが、マックスはライオンのせいにして口も利かない。困った男だが、ライオンが手酷く痛めつけられたと知るや仇をとってくれる頼もしい一面もある。ヤクザのようでもあるが(苦笑)
一方、マックスと一緒に洗車屋を始める前に、何年かぶりにデトロイトに戻り子供に会いに行くライオン。子供がお腹にいるときに妻を置いて家を出たので子供が男か女かも知らない。それでどちらでも喜ぶようにランプのプレゼントを持ち歩いている。事前に妻に電話をすると断られるかもしれないという理由で電話せずに直接会いに行ったのに、結局怖じ気づいて家の近くから電話をするライオン。そして妻が既に再婚したことを知る。そして本当は男の子がいるのに子供は流産して死んだ、もう二度と電話してこないでと告げられる。
ここからのアル・パチーノの演技がすごかった。マックスには子供は男の子だったと嘘をついて喜び、明るく振る舞うライオン。しかし、精神が破綻してしまったライオンは他人の子供を抱えたまま噴水に入っていく。
すっかり変わり果てたライオンを助けようとするもどうすることもできないマックスは駅でピッツバーグ行きの往復乗車券を買うのに一苦労。靴底に隠していた金でなんとか乗車券は買えたが、靴がおかしくなったのか靴を打ち続けて映画の幕は下りる。
マックスもライオンも決して悪い男ではないのになあ。
なんか切なかった。
確かに名作でした、いや傑作です。
遠目からの
画がイイ。オープニングの出会いの遠景、ストリップトレインを遠目から、豚小屋の遠景等々。
話としては、悲観的に思えてしまう。所々で世間に対する呪詛を吐くマックスを残し、笑いを絶やさなかったライオンも圧し潰された。ピッツバーグに有るという金も本当は存在しないんじゃ? 常に頭の下に置いてたのがなけ無しなんじゃないのか?
ハックマンとパチーノが不仲だったのは本当かもしれない、そこここで嫌悪感が出ているような気がした。
不思議な友情、怒りより笑いを、そして名優たちの名演
「午前十時の映画祭」で鑑賞。
ふたりの男の不思議な友情の物語。観る者のこころに訴えかける、ロードムービーの名作です。
マックスがライオンを力で支配していないのがいい。なんだかんだといいながらも人格を尊重して対等につき合っているところがいいですね。
終盤の、バーで踊るマックスのシーンは本作のハイライト。
怒りを笑いに変えることができたマックス。よくやった、感動した!
それにしても、世界的な名優たちの演技は見応えたっぷりでした。
映画だということを忘れるほどの名演で、「さすがだなぁ」と魅了された。
道化者を演じたアル・パチーノは可愛らしく、『ゴッドファーザー』 のコルレオーネとは別人のよう。
どこかザラッとした質感のある作品で、アメリカ社会の一部分を切り取り、その断面をじっくりと見せられたような感じがしました。
ラストはちょっと尻切れとんぼのような気がしないでもないけれど、あれはあれでいいんだろうな。うん。
ロマンチックそのもの
恋愛ものとホラー以外ほぼ全ての映画を見たという恋人に、ベスト5として薦められた映画。(他は「君のためなら千回でも」と「パルプフィクション」「ライフイズビューティフル」あたりとのこと)
映画に疎く、かつ長時間集中できないので家事の合間に録画したものを少しずつ見て、1年かけて鑑賞。
切れ切れに見ても、不思議と前の展開を忘れていないことに驚きます。
見始めたら、すっとスケアクロウの土煙る世界に没入できます。
私が生まれる前に制作された映画なのに、全く古く感じられません。
お金が足りなくてその場で片道切符だけ買えばいいのに、往復きっぷにこだわるマックス。
ここで終わるのか!?というラストです。
でも個人的には、色々想像力を働かせる余地があり、素敵な終わり方だと思います。
人生は短く儚く、いつも思うようにいかないけれど、喧嘩をして仲直りしてを繰り返して、私たちは少しずつ相手への理解を深めていきます。
いつも隣にいて、人生を一緒に旅してくれる存在がいる限り、私たちは太陽を見失うことなく、どこまでも行けるし、どこにでも行けるのだと思います。
生きることは辛さと向き合う事
怒り屋のマックスと優しいライオンの凸凹コンビの友情を描いたロードムービーで最後はきっと成功するハッピーエンドなのかなと思ったけれど、それを裏切るような残酷な展開
笑って生きるのがいいんだ!と言って明るく生き続けたライオンが、別れた妻から辛い言葉に現実を伝えられて壊れる場面・・・マックスが怒りに狂って喧嘩を起こす直前の張りつめた空気より怖いなと感じた
尻切れトンボのようだって感想もあるけれど(アルパチーノとジーンハックマンの仲が良くなかったからああいう終わりに方になった?)一緒に仕事をしようと思ってたライオンを置いて一人で旅立つマックス・・・
ああいう選択、そして心境を考えると悲しい。
途中でおしまい
アル•パチーノのインタビュー本を読んだところ、この撮影ではジーン•ハックマンとソリが合わずじまいだったとのこと。私の記憶が正しければ、不仲のせいで途中で撮影ができなくなったはずで、ラストは無理矢理感が否めません。
本来なら結末がちゃんとあったはずで、ラストのいいとこで幕切れ、残念です
フライパンと往復切符
フレンチーが料理の途中で庭に出てくる前、フライパンの油に火が入りそうで冷や冷やした。このあと火事に絶対なると思ったのだが。
ラストはマックスがやはり「抜けている」ことを示すユーモアで終わって良かった。大金を受け取りに行くのだから、往復の切符に金が不足するからといって慌てる必要もないのだ。それをわざわざブーツの底に忍ばせたなけなしの十ドル札を取り出すなんて。
これが「最後の一本のマッチ」への返礼なのは言うまでもなく、マックスのそうした義理堅い性格に加えて、どこか抜けているところも一つのシーンによって表している。
素晴らしいシナリオだ。
スケアクロウ
思ってたより中盤過ぎぐらいまでは笑える感じで、アルパチーノの言っていたスケアクロウ(人を怒らせずに笑わせる)みたいな生き方もアリかなと思わせるのだが、その彼も終盤の大事な場面では妻に茶化すのはやめろと言われ、それでは人とうまく生きていけないことを示しているのが良かった。大抵の映画はこういう生き方がいいと示すが、答えを極端にこうだと提示しないとこがこの映画のいいところだと思う。
ただ刑務所に入れられた時点であんなに言われ続けたアルパチーノが、ジョークを飛ばそうがずっとジーンハックマンに気をかけていたのはかっこよかった。
消化不良に感じる人も多いと思うが、最後のシーンで往復切符を買っていたことから結末としてはそういうことなんじゃないかと思う。
不器用な男二人のロードムービー
ゴツくて、長身でまだ髪の豊富な暴れん坊で
味方が居ない孤独なジーン・ハックマンと
背が低くてお調子者で皆から好かれる
アル・パチーノがコンビを組むロードムービー。
私が観た映画で、こういうおちゃらけたアル・パチーノは
珍しいのですが、尚且つ繊細で微妙な役を演じています。
まさしく天才を感じさせます。
不満はラストシーン。
えーって感じで消化不良ですが
それ以外はいい作品です。
続編作るつもりだったのかな?
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