「物語でなく本当の話には何も言えない」シンドラーのリスト chiliさんの映画レビュー(感想・評価)
物語でなく本当の話には何も言えない
ジュラシックパークより後で、プライベートライアンより前なのか。スピルバーグと同じ時代に生きてることに感謝。でもわたしが子供で、映画もみたりみなかったりしている頃から、こんな大作をばんばん撮り続けているわけで。凄い。
モノクロを効果的に使った映画で思いつくのは、ヴェンダースのベルリン・天使の詩です。淡々と鬱々とした白黒の世界から、カラーが現れた時の印象は、喜び。なんてきれいなんだろう、と思ったものでしたが‥
この映画の場合は、もしカラーだったら目を背けずにはいられなかったでしょう。過去のドキュメンタリーを思わせるモノクロの世界に3時間かけて馴染んだあと、カラーになった瞬間、それはごく最近の現実で、ここと地続きなことを思い知らされる。
DVDの特典映像として、映画に登場した方々のインタビューがしっかりとしたボリュームであったのですが、登場人物、キャラクターなどではなく、実在の人間なんだと突きつけられる。かなりしんどいけれど、残していかなくちゃいけない映画だと思います。
長身のリーアムニーソンで印象深いのは、スコセッシの沈黙〈サイレンス〉。フェレイラ神父の深い眼差しが、この映画のモノクロ画面でシンドラーの瞳にリンクしました。
少女の赤い服の色と、ろうそくの焔の色が胸に残ります。
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