「闘牛士の光と影を鮮烈なネオレアリズモで描く青春残酷物語」真実の瞬間 グスタフさんの映画レビュー(感想・評価)
闘牛士の光と影を鮮烈なネオレアリズモで描く青春残酷物語
フランチェスコ・ロージはネオレアリズモを代表するヴィスコンティ監督の「揺れる大地」でフランコ・ゼフィレッリと共に監督助手をして、その後継者になりました。オペラや商業映画に活躍したゼフィレッリと比較すると地味で鑑賞機会も少なく残念でなりません。ただこの作品はそのネオレアリズモのロージの素朴なスタイルと闘牛士の陰影を主題とした内容が合い、独特な世界観を醸し出しています。
主演は当時人気最高の闘牛士ミゲル・マテオ・ミゲランが演じ、貧しい農村出身の青年を好演しています。各地を転々とする闘牛興行シーンは実際のプロですから迫力があり素晴らしいですが、人気闘牛士になって故郷に帰り束の間の安らぎを得るところもいい。
ドキュメンタリーよりのリアリズムで描かれた、青春の栄光と虚無。独自の詩的な青春文学の趣があります。
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