白い足のレビュー・感想・評価
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海と薬草と恋と呪い
舞台はフランスのブルターニュ
オデットが夜の散歩に出かけると
歌声が聞こえ、薬草摘みの老婆に出会い言葉を交わす
そのあと心がモリスに傾き、操られていく
海も妖しく輝く
この辺りで ブルターニュがケルト文化圏だったのを認識
オデットはジョックの愛人なのに
伯爵とモリスの兄弟両方とも関係を持ってしまった
城を守る伯爵は孤独で
その父親と共に女性トラブルの傾向も
最初は誘惑の限りを尽くしてきたのに
ジョックとの結婚を決め
ウェディングドレス姿でモリスへの愛を語り
伯爵を罵倒するオデットも貴婦人どころか魔女みたいに
結婚式がまさに祝祭と化し
カドリーユで絶頂を迎えるが
登場人物たちの愛憎もクライマックスに達する
やっぱり貴婦人に憧れたミミが見た
幻覚のようなダンスの場面も、とても美しい
文化的融合みたいなものも表現してるのだろうか
グレミヨン監督が完全主義者と呼ばれてたのがわかるような作品でした
モノクロの美しい映像に彩られて、人間の業を炙り出す佳編
ジャン・グレミヨン作品の中でも最上位級。
酒場の主人ジョック、愛人オデット、没落したケリアデック伯爵、異母弟モーリス、酒場の給仕ミミ、彼らが織りなす愛憎劇。5人の感情の変遷が、人間の業やコンプレックと複雑に絡み、興味を掻き立てます。
オデットは見た目の派手さや、わがままな押しの強さからジョックはもちろん、モーリスや伯爵まで魅了してしまいます。
伯爵がオデットに惹かれた経緯は敢えて省略されていますが、変わり者の伯爵も結局は人の愛に飢えていたということでしょうか。
一方モーリスはオデットの見た目に支配されていると思いきや、血縁に関する積年の恨みがあっさりと愛を上回ってしまいます。
ミミは密かに伯爵に恋心を抱いていますが、伯爵はただの厚意に取っていたようです。
オデットも単なるアバズレに見えていたのですが、実は不幸な境遇から抜け出したい強い願望があったことが後に分かります。
ミミと伯爵が入江で初めて言葉を交わすシーンで、航行する舟や灯台の点滅がバックに映るショット、丘の上から入江を見下ろす俯瞰ショット、結婚式の喧騒と崖上の切り返しの後ベールがゆっくり落下するクライマックスなど映像美に溢れています。
撮影はオフュルスの「快楽」でも素晴らしい腕前をみせたフィリップ・アゴスティーニ。最後のミミの妄想ダンスの悪魔的な美しきにトドメを指します。
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