「映画として最低だが、ストリップショーとしては、それなりに高い」死霊の盆踊り 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
映画として最低だが、ストリップショーとしては、それなりに高い
かつて、ティム・バートン&ジョニー・デップが映画化した自他共に認める史上最低の映画監督エド・ウッドが1965年に発表した伝説のカルト映画。
ドライブ中、交通事故に遭った小説家カップルが夜の帝王が牛耳る呪われた墓場に迷い込み、化け物軍団に襲われるオカルトホラー。
しかし、ストーリーの大半は捕らわれた2人を尻目に、夜の帝王が招待した若き女ゾンビ達がとっかえひっかえオッパイ丸出しでセクシーダンスを披露するだけのグッダグダの内容。
そもそもタイトルからしてふざけている。
盆踊りって何なんだ?!
要はストリップショーin墓場である。
いくらスッポンポン好きの私でも「ええ加減にせえよ」ってウンザリするほど延々踊っている。
特に中盤に出てくる猫娘のキャラのバカバカしさと、バストをこれでもかとブルンブルンと揺らして一心不乱に踊りまくる花嫁ゾンビのダンス、そして、全身ゴールドに塗り固めて登場する金粉ショーは圧巻。
脱力系ムービーのトップと謳われているのがイヤになるほどわかる。
散々踊ったせいで生贄の2人を始末する時間が無くなり、夜が明けてしまい自滅するというハラホロヒレハレなオチにも唖然だ。
加えて出演者全員セリフ棒読みでスリルも怖さも緊張感も皆無。
中でも夜の帝王は終始、カンペをガン見して喋っており、あまりにも堂々とした大根ぶりは、逆にエネルギッシュで頼もしい。
そりゃ史上最低やわ…と納得する創りだが、天下のハリウッドだけに踊り子達のプロポーションは素晴らしく、裸体のクオリティは唯一、異様に高い。
下着が一式Tバックなのも時代を先取っている。
また、チープな色彩と音楽が独特の世界観を生み出しており、ダンスもジャズ、フラダンス、フラメンコ、ゴーゴーetc.多種多彩。
ストーリーを度外視したバラエティーに富んだ構成にショックを受けたマイケル・ジャクソンが、後年、今作をヒントに、『スリラー』を生み出したとかしなかったとか…。
色んな意味で破壊力満点の歴史的映画である。
では最後に短歌を一首
『墓場にて 桃とイチゴの 盆踊り 同じアホなら 踊らにゃ損々』
by全竜