劇場公開日 1956年7月12日

「ヒッチコックが最も油の乗っていた時期の最高峰の傑作だ」知りすぎていた男 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ヒッチコックが最も油の乗っていた時期の最高峰の傑作だ

2019年3月2日
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ヒッチコック映画の最高峰のひとつ
正に何から何まで映画作りの名人の技
最高の娯楽映画だ

本作はもともと1934年の暗殺者の家のセルフリメイク、原題はThe Man Who Knew Too Muchで同名
だから彼の中で特に熟成された作品だといえる

音楽が中心になる作品だから、そこに歌手のドリス・デイを起用する配役も素晴らしい
そして彼女に歌わせる主題歌ケセラセラもまた素晴らしい!
あの世界的な有名曲で映画音楽の枠を超えて永遠のオーディーズポップスだ
また二度登場するその使い方も感嘆するばかり
特に二度目の歌唱シーンは息子の無事を知る為に声を張り上げ、息子ごそれに指笛の歌で応えるシーンは感動を呼び涙がこぼれる

ドリス・デイは歌ばかりか演技も見事で、息子の誘拐を知って錯乱するシーンでの演技力はどんな大女優にも負けない完璧さだ

ジェームズ・ステュアートとヒッチコックの相性はもちろん最高で言うこと無し
安心して観ていられる

圧巻なのはロイヤルアルバートホールでのロンドンフィルオーケストラの公演シーンだ
冒頭と後半の二度登場する

指揮者は音楽担当のバーナード・ハーマンその人
曲は1934年のオリジナル曲を彼が編曲し直したもの
弦楽器、ソリスト、コーラスと展開し
ティパニーの連打、そしてシンバルの一撃!
気持ちよさそうに指揮棒をふるバーナード・ハーマン
彼はなんと本人役となっており、本編のロイヤルアルバートホールの入口のポスターに曲名と共に彼の名前がデカデカと大書きされているシーンがある

無数の映画の歴史の中でも最高の音楽の使い方ではないだろうか

ユーモアやウイットも見事な配分で、全てが解決して最後の最後のユーモアなラストシーンで終わらせるのは見事というしかない

ヒッチコックが最も油の乗っていた時期の最高峰の傑作だ

あき240