劇場公開日 2018年7月23日

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「今でも通用する、人間の在り方を問う傑作だ。」処女の泉 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今でも通用する、人間の在り方を問う傑作だ。

2024年11月23日
PCから投稿

中世スウェーデン。凌辱され殺された娘と、彼女の父親の復讐を描く。同国の13世紀のバラッド『ヴェンゲのテーレの娘たち』を脚色。『羅生門』の影響も受けている。
今は珍しくないシーンも、貞操観念が強かった当時は、衝撃的だった。米国や日本でも、検閲が行われた。

恐ろしく、美しい、不穏で魅惑的な映画だ。登場人物のショットや台詞に無駄が無く、その1つ1つで、その人がどんな人で、何を思っているかが伝わるのが、物凄い。

神の救済なら、被害者が生き返る結末が良かったという意見もあるかも。だがベルイマン監督は、奇跡とも偶然とも取れる結末を選び、本当に神はいるのか、それで心が救われたのか、神の救済と不在を問う結末を選んだ。

性被害の家族による復讐や、罪に対して罪を犯すことは、今でも通用するテーマだ。復讐で、心が救われるのか。人間の在り方を深く問う傑作だ。

瀬戸口仁