劇場公開日 1998年12月19日

「【”What a Wonderful Word.”今作は美しい謎の男が、一代で会社を築いた余命僅かの男の元に現れ、男の娘と恋をし、人生の素晴らしさを知るヒューマンファンタジーなのである。】」ジョー・ブラックをよろしく NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 【”What a Wonderful Word.”今作は美しい謎の男が、一代で会社を築いた余命僅かの男の元に現れ、男の娘と恋をし、人生の素晴らしさを知るヒューマンファンタジーなのである。】

2025年10月13日
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鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

癒される

■一代で会社を興し成功した男パリッシュ(アンソニー・ホプキンス)の愛娘で医者でもあるスーザン(クレア・フォーラニ)は、ある朝、病院に行く前にコーヒーショップで出会った美しい若者(ブラッド・ピット)と心引かれ合うが、思いを残したまま店を後にする。
 その直後、若者は店を出て直ぐに交通事故に遭う。
 そんなある日、死期の近いパリッシュの元に、死んだ若者の体を借りた美しい謎の男(ブラッド・ピット:二役)が現れる。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・これは、今更書くまでもないが、矢張り書かないわけにはいくまい。今作の魅力は、若き
ブラッド・ピットが整った表情と澄んだ青い瞳、金髪でビシッと決まった三つ揃えのスーツを着こなす姿であろう。しかも、可なりタドタドシク。
 謎の男・・これも巷間に流布しているので書くが、死神であるために、それまで孤独で、人間界の営みを知らない故に、ネクタイが上手く結べず、初めてピーナッツバターを食べその美味さにスプーンを加えたままビックリする表情を、ブラッド・ピットが絶妙に演じているのである。

・そして、死神は死期を悟ったパリッシュにより、取締役会にも普通に参加するのである。そして、名を問われたパリッシュは”ジョー・ブラック”と答えるのである。

■”ジョー・ブラック”は、美しいスーザンに惹かれ、当然彼女も(もともと、出会った時に惹かれていた。)”ジョー・ブラック”に惹かれるのである。
 二人は、ごく自然にセックスをする。このシーンが、実に美しいのだな。映画で、数々セックスシーンを観て来たが、このシーンはベスト5に入る。(キッパリ!)
 そして、スーザンは笑顔で言うのである。
 ”初めての人と、したみたい・・。”
 そして、”死神”は彼女に更に惹かれ、人間の生の素晴らしさの一端に触れるのである。

・”ジョー・ブラック”が、スーザンが働く病院に入院している末期のインドネシアの女性との現地語での会話のシーンも良いのだな。ここで、”ジョー・ブラック”は”死を受け入れる人間”の崇高さに触れるのである。

・スーザンの婚約者で野心家のドリュー(ジェイク・ウェバー)と、パリッシュの余り見た目はいけてないが、心優しい息子クインス(ジェフリー・タンバー)との対比の描き方も見事である。

・野心家のドリューが、末期を知ったパリッシュの姿を見て、会社の実権を握ろうと取締役会で緊急動議をした後に、人間の営みや美しさを知った”ジョー・ブラック”が、自らの正体を明かすシーンも白眉である。
 当然、”死神”と名乗るだろうと、観る側もパリッシュも思うのだが、彼は”国税局の調査員”と答え、ドリューが進めていた合併の件の瑕疵を指摘するのである。

■そして、パリッシュの65歳の誕生日パーティーが、屋外で花火が打ち上げられる中で、行われるシーン。パリッシュと”ジョー・ブラック”は、橋を渡っていくのだが、その後、”ジョー・ブラック”だけが戻って来るのである。
 その態度から、スーザンは彼が、最初にコーヒーショップで出会った美しい若者だと、気付き、彼の顔を優しく見て手を握るのである。
 それは、最初はスーザンも”連れて行く”と言っていた”ジョー・ブラック”の、粋な計らいであったのである。

 <今作は美しい謎の男が、一代で会社を築いた余命僅かの男の元に現れ、男の娘と恋をし人生の素晴らしさを知るヒューマンファンタジーなのである。>

NOBU
ゆーきちさんのコメント
2025年10月14日

共感ありがとうございました。

演者や作品そのものの美しさが言語化された、素晴らしいレビューですね。あの時の感動がまざまざと蘇りました.

ゆーきち
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