「やっと観た」少林寺 よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
やっと観た
「少林寺♪少林寺♪▽●◇◎▲・・・・」
タイトルの歌が懐かしい。小学生の時に教室でみんなが歌っていた。でも、自分だけこの映画をTVで観てなかった事実は口には出せなかった。そんな思い出のカンフー映画。
このカンフー映画の新しかったことは、中国の歴史に重ね合わせてカンフーが物語られるところにある。それまでのブルース・リーやジャッキー・チェンのカンフー映画とは少し趣が異なり、カンフーの行に邁進する者たちの精神性や葛藤について言及している。
リー・リンチェイ改めジェット・リーには、小学生時代から20年を経て随分とお世話になった。「キス・オブ・ザ・ドラゴン」「HERO」。
彼ほどその表情がサスペンスフルなアクション俳優は得難いと思う。演技派の俳優たちに交じってもなんら違和感がない。
この作品、俳優の口から出てくるのは、台詞よりも「ハッ!ハッ!ハッハッ!」のほうが圧倒的に多い。一体全部で何回言っているのだろうか?
言葉やワイヤーやコンピューターで語るのではなく、肉体そのもので語られる映画である。カンフーの戦闘のみならず演武が素晴らしい。こういうものを観ると、CGやワイヤーを使用したアクションがアニメーションと同じ表現手段であると感じる。
ところで、何度か出てくる騎行のシーンが美しい。画面奥下から手前上に向かってくる騎乗の列のショットは、おそらく撮影スタッフにしてみれば歴史もので何度も撮り慣れたお決まりのものだったのかも知れない。しかし、現在の鑑賞者の目には新鮮に映ると思う。もちろんリー・リンチェイの騎乗も特徴的な乗りこなしでかっこ良かった。
初めて、、、
「ハッ!ハッ!ハッハッ!」を何十回となく繰り返してカンフーごっこに興じていたにもかかわらず、、、
初めて観て驚いたのはこの作品で酔拳が出てくること。リー・リンチェイの酔拳の動きは、コミカルなジャッキーのそれとは異なり、むしろ艶やかとも言えるほど流麗なもの。蓋を開けたら意表を突く玩具が飛び出したような楽しさを味わえた。