「温故知新」自由を我等に odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
温故知新
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1931年(昭和6年)の映画がルネ・クレール監督没後40周年特別企画としてデジタルリマスター版として復活。
かっての刑務所仲間のその後の人生の明暗をコミカルに、時にミュージカル風に面白おかしく描いています、今観るとセリフが少ないのが、かえって画面に没入でき新鮮に思えました。
1931年は日本では羽田空港が開港し、本格的トーキー映画(マダムと女房)が公開された年でした。
大量生産社会の訪れで労働者が機械の奴隷に退化する様を皮肉ったコメディはチャップリンのモダンタイムズ(1936)が有名ですが、それ以前に本作が描いていました。当時は本作の盗作論争も起こりましたがチャップリンは否定、仮に真似たとしても光栄とルネ・クレール監督は気にも留めなかったそうです。逆に本作のコメディタッチはチャップリン映画を彷彿とさせるもので双方ともに少なからず影響を受けていたと言うのが実態でしょうね。
ベルトコンベア方式は1914年にT型フォードの組み立て工場で導入され普及したそうですが本作でも蓄音機の組み立てに追われる様が風刺されていました。その後のオートメーションの新工場稼働で今度は大量解雇、失業問題かと思ったら従業員が余暇を愉しむ様子が描かれ、単純労働から解放された歓びを享受している様でした。これがタイトルの言わんとするところなのでしょう・・。
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