「大人の男女の、若者のような別れ。駅を行き交う人びと。」終着駅 あまおとさんの映画レビュー(感想・評価)
大人の男女の、若者のような別れ。駅を行き交う人びと。
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ヴィットリオ・デ・シーカ監督 /米伊合作1953年作品
は米伊合作映画とのことで、この監督らしい映画と言えるのかはよくわからないが、わたしには面白かった。
愛し合う男女の踏ん切れない別れ。思わぬ形で終結するが、短い時間設定の中で、しかも駅という場所だけで、よくもこれだけ面白い展開をみせられたと感心した。
駅で往来する人びとや働く人びとの描写にもぬかりがない。さまざまな人が、さまざな目的で足を運ぶ駅。映し出されるものは、ほんの表面的なものだが、沢山の人生や暮らしがそれぞれにある。2人の別れもその1つだ。
彼女は愛情豊かな素敵な女性。夫と子どもを愛しつつ、旅先で知ったひたむきな男性にも愛情を注ぐ。甥をかわいがり、困っている人にも躊躇なく手を差し伸べる。そんな彼女だからこそ、捨てられない、選べない。
経験豊かであろう署長は心得ているようで、厳しい現実を突きつけ選ばせた。
いい歳した大人であることを忘れてしまったかのような二人の行動。真っ直ぐで、不器用で、向こう見ずで、まるで青春真っ只中の若者のようだ。
しかし、これが人生だな、と思う。
駅とは、そんな気分にさせる所なのだろう。
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