「静かであたたかく愛に満ちていて寂しい」ジャック・ドゥミの少年期 kさんの映画レビュー(感想・評価)
静かであたたかく愛に満ちていて寂しい
ジャック・ドゥミが映画監督になるまでの過程を、少年期のエピソードと監督作品をクロスオーバーさせて表現しているのが秀逸。
そしてなにより、ドゥミ監督の、溢れんばかりの映画への愛と成長するにつれ道を志せるか分からない不安や葛藤を、とても静かに描いているのに、その押し流されそうな気持ちの熱さをひしひしと感じさせられて、ものすごく感動した。こんなに凪いだトーンで気持ちを伝えることができるなんて、アニエスは本当にすごい。
それは、そこここに星屑のように散りばめられたアニエス・ヴァルダ監督のジャコへの胸いっぱいの愛とジャコをもうすぐ失う悲しさとがそうさせているのかもしれないなとも思った。
最初から終いまでジャコのキラキラした情熱と思春期と、アニエスの愛とあたたかさ、そして悲しさが感じられる映画。
コメントする