「夫への最期のラブレター」ジャック・ドゥミの少年期 SpicaMさんの映画レビュー(感想・評価)
夫への最期のラブレター
ドゥミ監督が体調を崩して死を悟り、幸福だった自分の少年時代の思い出を綴った。自分は体力がないからと妻のヴァルダ監督に映画化を依頼。妻が映像作家として、間もなく夫を失う哀しみを堪えつつ制作した、夫への最期のラブレターのような伝記作品。ドゥミ監督は出来を心配するヴァルダ監督によく撮れてると言ったそうで、作品完成を待ち、その10日後に亡くなった。
休日には家族揃って映画やオペラ鑑賞に出かける家庭に育ち映画少年になっていった様子、成長して父親に映画の道を反対されるも母親の応援を得て夢を叶えていった様子、初恋や戦時中のさまざまな思い出が、夢を叶えて映画監督になってから撮った作品を交えながら綴られている。
あの母親がいなかったら監督はいなかっただろうなと思える、歌が好きで優しい母親と、同じように陽気な祖母の「笑ってみせなさい。たとえ悲しくてもね。」という台詞が心に残った。
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