「天才ピアニストデイビッド・ヘルフゴットのドキュメンタリー」シャイン 大岸弦さんの映画レビュー(感想・評価)
天才ピアニストデイビッド・ヘルフゴットのドキュメンタリー
シャイン
神戸市内にある映画館 OSシネマズミント神戸にて鑑賞 2024年7月9日(火)
実在の天才ピアニスト、デイビッド・ヘルフゴットのドキュメンタリー映画
午前10時の映画祭
原題 Shine
オーストラリア、メルボルンで暮らすデイビッド(アレックス・ラファロウィッツ)は、音楽家の夢に破れた父ピーター(アーミン・ミューラー=スタール)に幼少時からピアノを厳しく教え込まれ、その才能を開花させる。
ピアノコンクールで、デイヴィッドはショパンの「ポロネーズ」を弾く。そこでデイヴィッドのずば抜けた才能を見抜いたピアノ指導者のローゼンは、彼の指導をさせてほしいと申し出る。
ピーターはその話を一旦断るが、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」を弾きたがる息子を見て、ローゼンに指導をお願いする。世界一難しい大曲として有名な「ピアノ協奏曲第3番」を息子に弾かせることは、ピーターの悲願でもあった。
ローゼンは、ラフマニノフはまだ無理だと判断し、モーツアルトから指導していく。それから数年後、ローゼンの指導に導かれ、デイヴィッドは大きなピアノコンクールで史上最年少の優勝者となる。有名なピアニストにも実力を認められたデイヴィッドは、アメリカ最高の音楽学校へ留学しないかと誘われる。
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しかし家は貧乏で、デイヴィッドを留学させるような余裕はない。ローゼンは、ユダヤ教の堅信式に参加し、寄付を募ることを提案する。寄付金は順調に集まり、デイヴィッドのアメリカ留学が決まる。ところが、独占欲の強いピーターは、デイヴィッドが家から出ていくことが許せず、アメリカ留学を無理やり諦めさせる。ローゼンは、“ラフマニノフだけは押し付けるな”と忠告して、ピーターと決別する。
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ピーターはローゼンの忠告を無視して、コンクールでデイヴィッドにラフマニノフを弾かせるが、デイヴィッドは優勝を逃す。しかし彼の才能は認められ、ロンドン王立音楽学校から奨学生の招待状が届く。ところが、再び父親に激しく反対され、デイヴィッドは家を飛び出す。ピーターは、自分に反抗したデイヴィッドを勘当してしまう。
デイヴィッドは、親交を深めていた女流作家の励ましもあり、強い意志を持ってロンドンでの生活を始める。ロンドン王立音楽学校のセシル・パーカー教授(ジョン・ギールグッド)は、デイヴィッドの才能と純粋な人柄を愛し、熱心に指導をしてくれる。努力が実り、コンクールの最終選考に残ったデイヴィッドは、“ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を弾きたい”とパーカー教授に申し出る。
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パーカー教授は、ラフマニノフ本人の前でこの曲を弾き、その才能を絶賛された過去があり、この曲の難しさと怖さを熟知していた。それでもデイヴィッドの情熱にほだされ、彼の挑戦を許す。デイヴィッドは、寝食を忘れてこの大曲に挑み、パーカー教授の厳しい特訓メニューをこなしていく。
コンクールの日。デイヴィッドは、“明日という日はないと思って弾け”というパーカー教授のアドバイス通り、全身全霊でピアノを弾く。彼の魂の演奏は大絶賛され、デイヴィッドは見事コンクールで優勝する。しかし、自分を追い込みすぎたデイヴィッドは、そのまま正気を失って倒れてしまう。
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デイヴィッドは精神病院に入る。そして医者からピアノを禁止され、オーストラリアへ帰ってくる。帰る場所のないデイヴィッドは、それから10年以上を精神病院の中で過ごす。妹が時々面会へ来てくれたが、それ以外に彼を訪ねてくる人はいない。
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そんなある日、デイヴィッドは病院内の音楽室で、教会でピアノを弾いている女性と出会う。その女性は、デイヴィッドのことを知っていた。引き取る人がいればデイヴィッドは退院できるという話を聞き、女性は彼を自宅に引き取る。
しかしやはりデイヴィッドの世話は大変で、彼女はデイヴィッドを知り合いの男性に預ける。男性が用意してくれた部屋にはボロボロのピアノがあり、デイヴィッドは久しぶりにピアノを弾く。1度弾き始めるとデイヴィッドは止まらなくなり、四六時中ピアノを弾き続ける。これに閉口した男性は、ピアノに鍵をかけてしまう。
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ピアノを奪われたデイヴィッドは、以前迷子になった時に訪れた「モビーズ」という酒場にピアノがあったことを思い出し、その店へ向かう。デイヴィッドはそこでいきなりピアノを弾き始め、店員も客もそのすごい演奏に言葉を失う。客から大喝采を浴びたデイヴィッドは、そのままその店のピアノ弾きとなる。彼のピアノのおかげで店は大繁盛し、デイヴィッドの存在が新聞でも報道される。
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デイヴィッドは、モビーズの店員の知り合いのギリアン(リン・レッドグレイヴ)という女性と出会う。ギリアンは星占いの先生をしており、金持ちの投資アドバイザーと婚約中だった。店でデイヴィッドのピアノを聴いたギリアンは、彼の才能と純粋さに惹かれる。そしてデイヴィッドも、優しく大らかに自分を見てくれるギリアンに惹かれていく。
ギリアンが自宅へ戻る日、デイヴィッドはいきなり彼女にプロポーズする。ギリアンは戸惑うが、“嬉しいわ”と答えてくれる。
自宅へ戻ったギリアンは、本気でデイヴィッドとの結婚について考え始める。そして塾考したすえ、彼女はデイヴィッドと生きる道を選ぶ。2人の結婚式には大勢の友人が集まってくれた。
自由奔放なデイヴィッドとの生活は大変だったが、ギリアンは彼を愛し、彼がピアニストとして再起できるよう支えていく。
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デイヴィッドは、コンサートホールでのリサイタルの日を迎える。観客席には、父親以外の家族や懐かしいローゼン先生の姿もあった。長い時を経て、デイヴィッドはピアニストとして再起を果たす。アンコールを弾き終えたデイヴィッドは、スタンディングオーベーションで自分の演奏を讃えてくれる大勢の観客を見て、感極まって涙を流す。
後日、デイヴィッドはギリアンと父親の墓参りをする。デイヴィッドはもう父親を憎んでおらず、父親の教え通り、何があっても強く生き抜いていこうと思うのだった。
デイヴィッド・ヘルフゴット 少年期 アレックス・ラファロウィッツ
デイヴィッド・ヘルフゴット 青年期 ノア・テイラー
デイヴィッド・ヘルフゴット 現在 ジェフリー・ラッシュ
ピーター・ヘルフゴット(アーミン・ミューラー=スタール)デイヴィッドの父親
ギリアン(リン・レッドグレイヴ)星占いの先生
セシル・パーカー(ジョン・ギールグッド)ロンドン王立音楽学校の教授で、デイヴィッドのロンドン留学時代の恩師。
スコット・ヒックス監督
1995年製作 オーストラリア
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感想
主人公のデイヴィッド少年期のピアノ演奏よりも、ギリアンと出会った時のほうが、楽しそうに演奏しているように思った。
ギリアンさん、心優しい女性の占い師さんの対応に感動しました。
ラフマニノフ作曲「ピアノ協奏曲3番」の第1楽章の「カデンツァ」の演奏は、2通りあってどちらで演奏してもよいことになっています。この作品では「ossia」側で演奏されていることが分かります。
追加情報
セルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)はロシア帝国生まれの作曲家・ピアニスト
劇中で流れた「くまんばちの飛行(Flight of the Bumblebee)」はリムスキ=コルサコフ(1844-1908)が作曲しラフマニノフがピアノ演奏に編曲している作品