劇場公開日 1997年3月22日

「ラフマニノフの呪縛からの解放」シャイン シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ラフマニノフの呪縛からの解放

2024年7月20日
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精神を病んだ実在のピアニストの半生を描く作品だけど、その父親との確執と魂の解放がテーマでもあります。とにかく、主人公の父親像のインパクトが強烈です。厳格を通り越した歪んだ家族観と父性愛で、子供の人格を認めず精神を支配する毒親ぶりは、現代の日本でもありそう。息子にラフマニノフの難曲を強制するのも自分が支配し続けるためであり、主人公がコンクールでこの難曲を演奏しきった瞬間に精神が崩壊してしまうのは衝撃的です。ところが、精神を病んでしまった後の彼の人生は、ユーモラスで愛すべきエピソードに満ちているのがいい感じです。子供の時から、年上の女性にモテるのも、どこかおかしいです。ピアノの呪縛を解いたのは、誰からも奪われることのないピアノの才能への喝采であるのに救われる思いでした。役者では、青年期を演じたノア・テイラー、中年期を演じたジェフリー・ラッシュの力演が素晴らしかったです。毒父役のアーミン・ミューラー=スタールも、えげつないほどのうまさでした。

シネマディクト
トミーさんのコメント
2024年7月22日

コメントありがとうございます。
シドバレットが世に出る事無く亡くなってしまったのに比べて、主人公の周囲は理解してくれる人が多かったんですかね。症状の程度は有ると思いますが。

トミー
トミーさんのコメント
2024年7月22日

共感ありがとうございます。
演奏にプレッシャーを感じなくなったのはある意味救われたのかもしれませんが、周囲の人は本当に大変ですね。
実家の周囲に鉄条網が張られ、お父さんの恐怖心と圧迫感に幼い頃からじわじわやられてたのかと少し思いました。

トミー