「心地の良い自己陶酔」死にゆく者への祈り masakingさんの映画レビュー(感想・評価)
心地の良い自己陶酔
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30年前に一度観て以来、ずっとクライマックスの場面が脳裏に焼き付いていた作品である。
いまになって鑑賞し直すと、なかなかにミッキー・ロークの自己陶酔ぶりが鼻につくわけだが、若かりし頃はどっぷりと感情移入していたことを思い出した。
それでも30年間忘れられずにいたのは、ひとえに、神からの許しを請うことを頑なに拒んでいたローク演じるマーティン・ファロンが、十字架にすがりつくようにして教会の天井から落ちていく印象的なシーンのためであった。その切なさが、人間の深い業を感じさせてたまらなかった。
アラン・ベイツ、ボブ・ホスキンス、サミ・デイビス、リーアム・ニーソンと、名優をふんだんに使ったナルシスト映画だが、あのクライマックスの描写だけで観る価値があるというものだ。
インディ・ジョーンズシリーズなどで知られるアリソン・デューディーが、出番は多いのにストーリーにあまり絡んでこないという非常にもったいない使われ方をしているのも、撮影中に何か大きな変更でもあったのかな、と興味深いところである。
とにかく、30年ぶりの鑑賞でいろいろと楽しめた。
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