地獄の天使(1967)

劇場公開日:

解説

E・ジェームズ・ロイドの脚本を、T・C・フランクが監督にあたった若者を描いた作品で、スタッフ、キャストともにオフ・ハリウッド系の人材でかためている。撮影はグレゴリー・サンドール、音楽はマイケル・カーブが担当した。出演はトム・ローリン、エリザベス・ジェームズ、ジェレミー・スレートほか。

1967年製作/アメリカ
原題または英題:Born Losers
配給:東和
劇場公開日:1968年3月20日

ストーリー

アメリカ西海岸の田舎町。緑の山を背にしたこの町は、一見のどかで何の変哲もないが、実は“天使たち”と呼ばれる若者が、日夜、町の人々を脅かしているのだった。ナチ風のミリタリー・ルックに身をかため、オートバイに乗って非行の限りをつくす彼らは、実のところ“地獄の天使”たちだった。町の人々は怖れ、おびえ、かかわり合いになることを恐がり、警察も無力だった。ある日、天使たちが車に乗った青年に暴力をふるったが、人々は皆、見てみぬふりをするばかり。そこへ1人の若者が立ち向かった。彼の名はビリー(トム・ローリン)といい、インディアンの血をひく混血の青年である。彼は闘ったが結果は留置場入り。町の人々の警察への不信は、いよいよ高まった。天使たちは、さらに強い刺激を求めるようになり、町の少女たちを彼らのアジトに連れ込むようになった。町の少女ばかりではない。ある日たまたま、この町を通りかかったビッキー(エリザベス・ジェームズ)という娘さえ拉致し監禁した。彼女は何とか逃れ、町の人に助けを求めたが、後難を恐れてか、誰も手をさしのべようとしない。これら集団暴行事件に警察もやっと動き出したが、本人も家族も何もしゃべらないため捜査は難行。しかしその時、暴行されたルーアンの父親が娘を証人にすると名乗りをあげた。しかし天使たちは、ルーアンを連れ出し、父親に脅迫の電話をかけた。一方、病院に収容されていたビッキーが証人になることを承諾した。だが天使たちは、彼女をも病院から連れ出した。彼女を救ったのは偶然、現場にいあわせたビリーである。彼は傷心のビッキーを、山にある自分のトレーラーに連れていった。だが、そこへも天使たちはやって来て、ビリーを痛めつけた。こうなっては、警察は何の役にもたたない--。ビリーはショット・ガンを持って、天使たちのアジトに向かった。火を吹く銃。ボスのダニーが倒れた。いまだ傷いえぬビッキーを病院に運べと叫ぶビリー。そして間もなく警官隊が到着した。ボスを失った天使たちは警官隊に簡単に屈服した。天使の1人と思い込んだ警官はビリーの背に銃をあびせる。彼は、かつてビッキーと楽しい一時を過ごした山のトレーラーの側に倒れていた。パトカーで駆けつけたビッキーの心は、ビリーへの深い愛情で満たされていた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0ビリー・ジャックのシリーズ第一作で、この作品だけAIP制作配給

2024年6月5日
iPhoneアプリから投稿

監督のT・C・フランク、脚本はフランク&テレサ・クリスチーナは出演のトム・ローリンそのひと本人。 ベトナム帰りの元グリーン・ベレーという経歴のインディアン(混血?)の青年ビリー・ジャックが主人公のシリーズ第一弾で、このヒットからシリーズ化で第四作まで存在している。 基本的に以降は制作会社(AIPなど)抜きの自主制作路線になっており、第二弾はアメリカでは大ヒットしたらしいが、日本では話題にならずその二作目『明日の壁をぶち破れ』までしか公開されていない。 因みに、第三作は3時間級の長編だったようで、独立系の作品としてはアメリカでも異例の大公開と、独立系ならではの宣伝手法が話題を呼んでの大ヒットだったとか? その後の映画の宣伝手法などへの影響を与えたとされる作品らしい。 今作は我が国では、当時流行った“ヘルス・エンジェルス”の事件などを参考にした「暴走族モノ」の一本のような扱いで公開されている。 まあ、当初はシリーズを想定してもいなかった様子で、確かに原題からも、如何にも族モノっぽい。 内容的には、傍若無人な振る舞いで街の住人も手を焼きつつも、その凶悪さに恐れをなしてなす術も無しの状態のバイカー集団はその結果、街の若い女子3人と通りすがりの女子、4名が連中の性暴力の犠牲になってしまう。 そこにこれまでも、連中の振る舞いに一人あがなっていたビリー・ジャックが、再び通りすがりの女子が連中の毒牙に掛かりかけていた場面に遭遇して、偶然に接点を持った事から巻きこまれ、争いから最終的な決着へと発展していくというストーリー。 これを聞いて分かるように、ストーリーのベースは西部劇っぽい。 バイクが出てくる以外は低予算で、その他のAIP系のバイカーものやその発展系の『イージーライダー』などの元祖的なところがある。 しかし、シリーズ化以降は次第に毛色が変わって、娯楽アクションというよりは、人種差別や政治的な要素等の方向性が盛り込まれた社会性の色濃いものへと変わって行ったようだ。 まあ、最終解決が“暴力”的であったりするところの類似点は、脚本、制作、監督、主演まで務めるトム・ローリン氏の指向によるものなのであろう。 個人的には、主人公と絡むエリザベス・ジェームズにぐっと来ちゃいました、という事で......

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アンディ・ロビンソン