「見事な西部劇への鎮魂歌」砂漠の流れ者 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
見事な西部劇への鎮魂歌
主人公ケーブルホーグは西部劇の世界そのものを象徴するメタファだ
舞台は駅馬車が走る西部劇の世界だが、終盤には自動車が登場する時代
つまり西部劇の世界は終わりつつある
だからケーブルホーグ は初老に近い中年男なのだ
本作はどのように西部劇の世界が死んで行ったのかがテーマだ
彼は風采のあがらない、文字も読み書き出来ない、粗野そのもの、かといって腕っぷしがさほど強い訳でもなく、英雄的でもないケチな男だ
しかし、何もない砂漠の荒れ地から身を起こすのだ
つまり、そうやって西部を開拓していった名もない多くの西部の男を象徴する存在なのだ
インチキ牧師と売春婦は文明社会が西部の辺境に浸透していった様を示す
サム・ベキンパー監督は最後に主人公を近代文明の象徴たる自動車にホーグを轢かせて、このように西部劇の世界は死んでいったのだと映像で示す
押し留めようとしながらも、結局止められず轢かれてしまうのだ
インチキ牧師の葬式の言葉こそ監督の愛する西部劇に贈る監督の弔事、鎮魂歌なのだ
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