殺人捜査
劇場公開日:1971年9月18日
解説
ある殺人課長が犯した殺人によって、警察内部に湧き起ったさまざまな波紋を描いて権力機構の愚かしさを徹底的にあばきたてた作品。製作はダニエレ・セナトーレ、監督は「悪い奴ほど手が白い」のエリオ・ペトリ、ストーリーと脚本はウーゴ・ピッロとエリオ・ペトリの共同執筆、撮影はルイジ・クヴェイレル、音楽はエンニオ・モリコーネが各々担当。出演は「山いぬ」「総進撃」のジャン・マリア・ヴォロンテ、「ベニスの愛」「最後の谷」のフロリンダ・ボルカン、サルヴォ・ランドーネ、ジャンニ・サンツッチョ、アルツーロ・ドミニチ、オラツィオ・オルランド、セルジョ・トラモンティ、マッシモ・フォッシなど。
1971年製作/イタリア
原題または英題:Investigation of a Citizen above Suspicion
配給:コロムビア
劇場公開日:1971年9月18日
ストーリー
ローマ警察殺人課長(G・M・ヴォロンテ)は愛人アグスタ(F・ボルカン)を殺害した。そして、「アパートに女が殺されている」と警察に通報し、故意に血痕のついた自分の足跡を残し、さらに女の爪にネクタイの糸くずまで付着させて出勤していった。その日は、殺人課長から公安部長への昇進祝いのパーティーが開かれる日でもあった。通報を受けた新任の課長(A・ドミニチ)はシャンペンで乾杯したあと、ただちに捜査を開始した。昇進したばかりの公安部長も現場検証に立ち会い、部下にあれこれと指示した。血痕のついた足跡、爪に付いた糸くず、指紋そして大量の写真などが採集された。写真には実際に起きた事件の被害者を再現したアグスタの裸の写真も、含まれていた。容疑者として離婚した夫が逮捕されたが、何一つ証拠があるわけでなく、捜査はふり出しに戻った。現場に残された指紋は、部長のものばかりだったが、誰一人、部長を疑うものはいなかった。アグスタは犯罪に対して異常な興味を示し、殺人事件の被害者のモデルになっては種々のポーズの写真を部長に撮らせていた。ある日、部長はアグスタと学生パーチェ(S・トラモンティ)の浮気の現場を見つけ、甚く自尊心を傷つけられた。アグスタは部長を、絶えず愚弄し、侮辱していた。時には、常に権力をカサにきる部長をおだてあげ、得意がらせて喜んでいたのだ。捜査は一向に進展せず、部長は逆に、爪の糸くずと同色のネクタイを殺人課に送ったりして、捜査の不備をなじり、その傲慢な態度を増長させていった。その日は、浮気相手を問いただす部長を終始愚弄し、ついには不能とまで罵って追い出したアグスタに、部長の殺意が頭をもたげたのだ。「俺に不可能はない。殺人さえも」。公安部長として学生デモを取り締った際、パーチェが逮捕者のなかにいた。拷問にかけようとした部長は逆に、あの事件の犯行を目撃したといわれ、急に剛直さを崩して、涙ながら犯行を自供した。殺人課に自首した部長に、警視総監以下全幹部はそれを否定した。足跡、ネクタイ、写真などの証拠さえも。「おまえはノイローゼだ。警察権力そして全体制を侮辱することは許さん」と厳命した総監の言葉に、部長の顔にはみるみる不敵な笑いがひろがった。そして、自分は無罪である、と言い放った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- エリオ・ペトリ
- 脚本
- ウーゴ・ピロ
- エリオ・ペトリ
- 原案
- ウーゴ・ピロ
- エリオ・ペトリ
- 製作
- ダニエレ・セナトーレ
- 撮影
- ルイジ・クヴェイレル
- 音楽
- エンニオ・モリコーネ
- 編集
- ルッジェーロ・マストロヤンニ
- 字幕監修
- 太田国夫
受賞歴
第43回 アカデミー賞(1971年)
受賞
外国語映画賞 |
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