劇場公開日 1970年4月25日

「学生運動とヒッピー」砂丘 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5学生運動とヒッピー

2022年10月9日
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鑑賞方法:DVD/BD

当世アメリカ若者風物詩

「イージー・ライダー」も最後には撃たれたが、僕はあのシーンは、映画製作者たちの、世に染まってしまった自己への総括、自身への糾弾だと思っている。

本作、
「ラジエーター用の水」が、=黄色いタンクが、何もない道路脇に置いてあって、ハッとした。
砂漠の一本道で何かに飢え乾いている僕としては、印象的なそのシーンに見入った。

映画のオープニングは学生集会。
理想と現実の境界線で、卒業を前に進むべき道を探って激論を交わす学生たち。
黒人、白人、ノンポリにモラトリアム。

干上がった湖底は自分の心。
乾いた砂の上で肉体を交える若者たち。
あの年代に我々を翻弄する激情と、世のシステム・親世代への憎しみと反発・・
「自分とは何か」を苦しんで自らに問うていたあの頃の焦燥感をヒリヒリと思い出す。

そういえば僕の実家は大学の正門のすぐそばで、機動隊とゲバ棒の闘いをいつも見ていた。
教員だった両親のもとに学生たちはよく来ていた。
火炎瓶が飛び交っていた。

きりん