劇場公開日 1981年1月17日

「一小隊の最前線版「この世界の片隅に」的に感じ…」最前線物語 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0一小隊の最前線版「この世界の片隅に」的に感じ…

2025年8月31日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

この作品については、
世間的な高い評価も聞かないので、
あまり観る理由も無かったのだが、
事前の情報で、この米軍部隊が、
当時のフランスヴィシー政権の軍隊と
戦ったシーンがあるとのことだったので、
そんなこともあったのか
との興味で観てみた。
しかし、私の思いが至らなかっただけで、
考えてみたら当時のフランスは
ナチスの傀儡政権だったわけだから、
当然と言えば当然だったのだろう。

さて、冒頭のキリスト教感視点を予感させて
始まったこの作品、
シチリアでの少年の母親の埋葬や
戦車の中での出産手助けエピソードなど、
戦時中の市井の人々の日常を描いた
「この世界の片隅に」ではないが、
ある意味、戦時における一小隊の兵士の
日常を描いたという意味では
最前線版「この世界の片隅に」
的な印象を受けた。しかし、
リアリティを欠いた戦闘シーンに加え、
彼らの“片隅”を描くとするには
各有名な戦場をなぞる構成が禍してしまい、
第二次世界大戦のダイジェスト
のような中途半端な印象を受けた。

さて、そんな中でのラストシーン、
軍曹は第一次世界大戦時のトラウマがあったのだから、それからの回復性の意味から、
終戦になっているかも知れないとの認識で、
ドイツ兵を助けようとして逆に殺されるとの
皮肉な設定にするのかなと思ったが、
そうとはしなかった。
キリスト教感視点的結末としたのだろうが、
甘い帰結に感じるばかりではあった。

KENZO一級建築士事務所
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