「アクション映画ではなくコメディ映画」五福星 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
アクション映画ではなくコメディ映画
2作目の『大福星』のほうを先に映画館で観て、ローカル局の深夜放送でこっちの吹替版を観たんだが、『大福星』やレンタルビデオで観た『七福星』に比べていまいち記憶になく、でもDVDをレンタルして観るまででもないよなあと思ってたらBS‐TBSで吹替版が放送されたんで録画視聴。香港では『プロジェクトA』よりちょっと前に公開されたこの映画は、タイトル通りサモ・ハン・キンポーら5人の元犯罪者を主人公としたドタバタコメディ映画で、ジャッキー・チェンやユン・ピョウはあくまでゲスト出演なんだが、日本では『プロジェクトA』より後に公開されたためサモ、ジャッキー、ユン・ピョウ共演のアクションコメディ映画に見せかけて公開された。当時の日本の配給会社の売らんかな主義である。
今回観直してもやっぱりこれはアクション映画ではなく、あくまでアクションシーンもあるサモら5人組のドタバタコメディ映画。そのコメディシーンも日本の70年代のB級映画(観てないからよく知らんけど)のようなプリミティブなギャグの連続で、ドリフ以前のテレビのコント番組『ゲバゲバ90分』(観てないからよく知らんけど)なんかのノリに近く、今となってはいささか、いや、かなり古臭い。ジャッキーもあくまでゲスト出演で出番もそれほど多くなく、ユン・ピョウにいたっては他に主演映画を撮影してたらしくほぼ友情出演レベル。まあ、それを承知の上で観ればそこそこ楽しめる。リチャード・ンが透明人間になりきるシーンは、予想通りの展開とはいえバカバカしくて笑ってしまった。『大福星』以後に見られる過剰なセクハラシーンが無いのも良い。ヒロインが『誰かがあなたを愛してる』のチェリー・チャンで、ジャッキーの恋人が『風の輝く朝に』のイップ・トン(セシリア・イップ)なのは改めて知ったな。
なお、ジャッキーのローラースケートのシーンはよく見ると半分以上で顔が映ってない。あれ? これはひょっとして……と思ったら、やはり大半が吹替(スタントマン)らしい。トラックの下をくぐるシーンも吹替だとジャッキー自身が来日時に言ってたそうだ。そういえば確かジャッキーはこれ以前にローラースケートをやったことが無かったとも聞いたような。客演だからそこまではやらなかったんだろうし、早撮りのサモもそこまで求めなかったんだろう。
