劇場公開日 1989年2月18日

「高畑容疑者に観て欲しい。」告発の行方 マサミチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5高畑容疑者に観て欲しい。

2016年8月30日
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鑑賞方法:TV地上波

悲しい

怖い

裁判のシークエンスはもう少しドラマチックに描いてほしい気持ちもあったが、この映画の本質はそこではなかった。

直接レイプを犯した犯人ではなく、それを煽った周りの人間たちを糾弾し、更に裁けぬと分かりつつも見て見ぬ振りをした周りの客をも断罪する主人公である検事の姿勢、それはまるで観ている我々にも突きつけられたナイフのようだ。

もう一人の主人公である被害女性は決して清廉潔白ではない。
確かに彼女自身にも隙は多すぎた。

この映画はそこを否応なしに見せて観客の気持ちを揺さぶる。
彼女にも非はあったのではないかと。

しかし、だからといって決して犯していい犯罪などない。

ないのだ。

裁判での被害時の心境を涙ながらに訴える彼女の抱えた傷みは一生消える事のないものなのだと男性である自分でも痛切に感じてしまう。

これは男性こそ観るべき作品だと思う。

目を逸らさずに。

マサミチ