劇場公開日 1955年11月22日

「核の恐怖」生きものの記録 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0核の恐怖

2025年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「七人の侍」(54)の翌年の作品なんですね。庶民の暮しを脅かす脅威を題材にしているところは似ていますが、かなり違った趣の作品でした。原爆を極度に恐れる主人公・中島喜一(三船敏郎)が滑稽に描かれていますが、これを滑稽と笑ってよいのか、という問題提起なのかなと思いました。1954年、ビキニ環礁で第五福竜丸が被爆した事故が元で作られたそうですが、結果的に世界はその後も核兵器を増産し続け、すでに地球を10回破壊する量だという話もあります。核を極端に恐れる喜一を小馬鹿にする一方、財産の分け前に目の色を変える家族模様は痛烈な風刺になっていますが、「七人の侍」にみられるような痛快な面白さはなかったように思いました。

赤ヒゲ