「やっぱりアウトローだったか」続・荒野の七人 TRINITY:The Righthanded Devilさんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱりアウトローだったか
黒澤作品を西部劇に置き換え大ヒットした『荒野の七人』(1960)の続編。
ストーリーに継続性はあるが、クリス役のユル・ブリナー以外の出演者は総取っ替え。
前作で命を落とした人物だけでなく、生き残ったヴィンやチコ、ペトラも別の役者に。
監督もジョン・スタージェスからバート・ケネディへと交代。彼の監督作品には本作以前に『七人の無頼漢』(1959)という西部劇も(主人公に復讐される人数が七人)。
S・マックイーン、C・ブロンソン、J・コバーンらスター級に代わって今回はやや渋めな人選。
ヴィン役には二枚目西部劇俳優のロバート・フラー。前回見たのが吹き替え版で山田康雄が声を担当していたからか、あらためて見ると違う印象。
ウォーレン・オーツ(コルビー役)と、監督としても活躍したメキシコ人俳優のエミリオ・フェルナンデス(ロルカ役)は、サム・ペキンパー作品の常連として有名。
フェルナンド・レイ(神父役)はスペインが誇る名優。
太っちょ看守を演じたリカルド・パレシオスは本作同様少ない出番ながら、『夕陽のガンマン』(1965)の序盤でL・V・クリーフとガン飛ばし合うトゥクムカリのバーテン役が印象的。
出演陣はスケールダウンした感じだが、オリジナルのシナリオはしっかりしているし、登場人物の個性を掘り下げている点が一作目とは異なる。
前作では素性が明かされなかったクリスも賞金稼ぎを10年も続けていることや、金で殺しを請け負った過去が判明。旧知のヴィンからも「村に戻るのは友情ではなく殺し屋の血が騒ぐからか」と指摘されるような人物。
10年前に、山賊の襲撃に苦しむ村人に『ガンマン(=悪党)を雇え』と助言したクリス本人も、黒ずくめの出で立ちどおりアウトローだったのだ。
前作よりも一人多めに生き残ったのに、メキシコ人少年マニュエルの死がラストで暗い影を落とし、ハッピーエンドで収めた前作とは対照的な印象。
一作目と比較されるせいで評価が低いが、十分よく出来た作品。
カメラワークは本作の方が圧倒的に優っているように見える。
前回、設定通りメキシコで撮影した際、政府から横槍入れられ懲りたからか、場所を代えて撮影したスペイン郊外はマカロニ・バブルの真っ最中。既存のセットも安くで使えたのでは。
BS12トゥエルビにて観賞。