結婚哲学のレビュー・感想・評価
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第1回キネマ旬報ベストテンの第1位、第2位サイレント作品を連続鑑賞して…
シリアス劇の「私の殺した男」や
コメディ劇の「生きるべきか、死ぬべきか」等の傑作で魅了された
エルンスト・ルビッチ監督作品。
1924年の第1回キネマ旬報ベストテンの
“芸術的に最も優れた映画”部門
(当時はまだ日本映画は対象には
なっていなかった)では
チャップリンの「巴里の女性」に次ぐ
第2位の高評価だった。
しかも、なんと、この「巴里の女性」に
刺激を受けてルビッチが製作したとのこと
だったので、ますます興味が深まった。
さて、この作品、
上記ルビッチ2作品とは異なり、
シリアスとコメディの両要素を併せ持った
ような作風だが、
二組の夫婦プラスワンの揺れ動く恋愛感情を
1時間半強の中できめ細やかに描き、
何か、TVの連続恋愛ドラマを
1時間半強への見事な濃縮技術で
見せてくれたような印象を受ける。
深く愛し合っていようと、倦怠期にあろうと、
共に他の異性に心惹かれる
古今東西続いて来た男女や夫婦の関係を
ユーモラスに描いてくれた。
いずれもサイレント映画で、
チャップリン作品が第1位、
ルビッチのこの作品が第2位だったが、
私的には逆の評価で、
ルビッチのこの作品の方が
圧倒的に出来が良いように感じた。
映画史のお勉強
大正時代の無声映画をいきなり観ると、どう面白がればいいのか戸惑います。つまらなくもないけど、面白いわけでもないし、やっぱ時代背景とかわからないと評価しようがありませんが、名匠ルビッチ君に敬意を表して3点としましょう。
ただ女の人たちが白黒で同じような顔で同じような髪形なので見分けがつかなくて困った。
ルビッチ・タッチ
有名な〈ルビッチ・タッチ〉というものが凝縮されている映画だった
不仲なカップルが 他を巻き込んでゆく… みたいな展開で、カップルを一つの単位と考えていた(いる?)欧米社会には有りがちなことかもしれない… とも思った
不仲の方が 圧倒的に面白い
(アドルフ・マンジュー/マリー・プレヴォー)
妻はまさに〈嵐を呼ぶ女〉で
誘惑者、破壊者であるだけでなく、人間の自惚れや底意地の悪さも垣間見せ
例の「女の間に友情は成立するのか…」という問いかけを思い出したりした
プレヴォーをルビッチが気に入っていたことも理解
また貞淑な妻(フローレンス・ヴィダー)も悪気は無いが 勘は悪く、事態を混乱させる
この辺の女性観というか、女性を見る目も的確で感心させられる
(ルビッチが女系家族であることも関係しているらしい)
今見ても 軽妙洒脱
BGMがピアノだけというのも 今日的で、何となくお洒落
しかし私には これがヒーリング・ミュージックになってしまい
何回か中断しながら視聴した
子供には見せられない映画のケッサク艶笑喜劇の古典
洒脱で明朗なルビッチタッチは少しの嫌らしさも無く、いつの時代でも理解しがたい夫婦関係を皮肉とユーモアで面白可笑しく描きます。きつねとたぬきのような女と男の騙しあいや悪ふざけを危険水域ギリギリの一歩手前で切り抜ける巧妙さ。当時のR指定が納得の大人のための内容でも表現は敬服ものです。
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