劇場公開日 2024年11月29日

「優しいようでドライな監督」ゲームの規則 シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0優しいようでドライな監督

2024年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

本作はオールタイムベストなどでも毎回上位にランクされ、ジャン・ルノワール監督の最高傑作とまで呼ばれ、個人的に“宿題作品”としていていずれ見ようとは思ってはいた作品でした。
しかし先月同監督の『ピクニック』('36)を見て何となく私の好みとは合わない様な気もして先延ばしにしていたのですが、今回鑑賞してやはり予想通り一筋縄ではいかない作品であり、私にとって少し苦手というか難しい作品でしたね。
専門家筋の評価の高さについては何となく理解出来ましたが、こういう作品の感想は私が書くには荷が重く、こういう作品こそプロの評論を読むべきだと思いました。(私も読みたい)

でも、感想・分析・解析などは面倒でも、映画から受けたインスピレーションなどの話題なら色々としたくなる様な作品でもありました。
とりあえず、物凄く大雑把にこの作品を言い表すと、人間社会の大枠の種類の登場人物を配した群像劇であり、上流階級の侯爵邸で起きる数日間の出来事で人間関係の縮図の如く、人間のあらゆる普遍を描いた作品と言ったら良いのでしょうか。
それを詳細に分析すると深すぎて一冊の本にもなりそうなので書く気が起きませんので、今回はこれが私の『ゲームの規則』を見た第一印象としておきましょう。

それと、上記した私が苦手な理由も少し考えてみたのですが、特に外国映画の場合、台詞が多過ぎる作品というのも苦手である一つの要因かも知れません。
台詞が多いといっても娯楽映画特有の説明台詞ではなく、本作の場合の会話の多さは日常手的な会話の為の会話的であったり、言葉に一々その人の機微が隠れていたり、言葉の内容そのものよりも言葉自体が洋服のように裸を隠すための装飾であったりで、外国映画の場合は字幕なので自然に頭に入らず、それらの判別が非常に面倒なんですよね。
もっと近年の監督で例えれば、ウディ・アレンの初期作品や、エリック・ロメールやホン・サンスの作品を見る様な感覚に近いのかもかも知れません。

あと、悪人は登場しないが好きになれる様な人物も一人も居らず、様々な会話を聞きながら良い台詞も無茶苦茶な台詞も、それを吐く人間は総じて個人(ご都合)主義であるって事が本作の多くの台詞から感じられました。
更に本作は(純粋な)喜劇ではないのですが、基本的にユーモアやらドタバタ劇的な要素が多く、それがどうにも私の肌に合わない感じで、どうせ喜劇なら少し前に見た(同時代作品である)ルビッチ監督の『生きるべきか死ぬべきか』の方が私の好みには合っていたような気がします。

という事で本作を名作ではあるが苦手な作品と思う私は(『ピクニック』を見た時も思ったのですが)ルノワール監督よりも少しだけウエットな(若しくは甘い)人間なのかも知れません(笑)

シューテツ