警部のレビュー・感想・評価

そっけないタイトルだが、原題は「警官か悪党か」で、それを言うならどう考えても主人公は後者だ。器物損壊、建造物損壊、同放火、激発物破裂など、いくら捜査のためとは言え度が過ぎる。ちなみにジャン=ピエール・メルヴィル監督の「リスボン特急」の原題が“un flic”だ。
ジャン=ポール・ベルモンドの特集上映というので、懐かしフィリップ・ド・ブロカの「大盗賊」を再見することに。せっかくなのでもう一本ぐらいと思って本作を選んだのだが、何とも大味な映画だった。娘の誘拐も予見できるし、そのあとの展開もぐずぐずで、盛り上がらない。撮影監督にアンリ・ドカエというのも惹かれた点だが、メルヴィルの諸作とは似ても似つかず、監督が違うとこうも雰囲気が違ってくるものかと。
教習車のカーチェイスの最中に、指導教官がいちいち違反項目を指摘するのは笑えた。