「フランスのエスプリ」警部 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
フランスのエスプリ
悪党を追いつめるために何でもあり。
原題は『刑事か、ヤクザか』と聞く。
最初は、正体を明かしていないので、ギャング第三勢力がやってきてきたのかと思ってしまうほど、無茶苦茶。
周りは迷惑しているのだが、ー悪党も悪党がらみの人も、悪党でない人もー、主人公は意に介せず。上部も「やりすぎだろ」という突っ込みもない。
やりたい放題で悪を追いつめるというと、私的には『ダーティハリー』とかを連想するが、テイストが違う。
たんにドンパチだけをやっているわけではない。
ちゃんと対応しない家の応接間に、車ごと乗りこむとか、
教官のダメ出し付き教習車でのカーチェイス。
衣服をはいで、目立つところに放置とか…。
今ではアスレチックの定番になっているロープ渡りとか…。
すごく多彩。しかも、バイオレンスというよりコント。
放火に爆発まで来ると、いささか笑えないが。
原題そのままの言動の数々。
そんな物語を、フランスのエスプリで色付け。
超高級そうなオープンカーを乗り回し、野宿。ん?
キャンプ場のテントから、タキシード姿でカジノへ。ヒュー。
ナンパに成功した付き合い始めて間もない恋人の家に、突然押しかけてきた娘と一緒に居候?え?しかも「お母さんに言うなよ」って、不倫かい!さらにさらに、恋人も娘も、姉妹みたいに仲が良いって…。
フランスの家族観や恋愛観てこんなものなのか。映画だからか。
一歩間違えると、イタイ(>_<)人になってしまうのに、ベルモンド氏がやると、なんと格好の良いことか。
「警察と犯罪組織の癒着を暴く敏腕警部の活躍」という解説を読むと、ハラハラドキドキ・ヒリヒリするのだが、この映画ではゆるゆる。
話がどこに行ってしまうのかというハラハラはあるけれど、話が混迷するほどではなく、
恋人と娘は味付け程度に。
誘拐騒ぎもあるのだけれど、ゆるゆる。
40代後半のベルモンド氏の立ち振る舞いを愛でて、フランスのエスプリを味わう映画。