「「英国人には気をつけて」」刑事ジョン・ブック 目撃者 えふいーねこさんの映画レビュー(感想・評価)
「英国人には気をつけて」
初見は20代で、何年かに一度は地上波TVでもやるのでそのたびに見返す大好きな作品。
ですが、今回BSノーカットで見て初めて、レイチェルの夫の葬式シーンから始まっていることを知る。え、地上波吹替では丸々カットされてた…?
時間経過がはっきり描かれてないけど、レイチェルの夫の死から「事件」がはじまるまでそんなに月日は経ってない模様。そうなるとレイチェルへの印象その他が少し変わってくる、と久々に観てまた再発見がありました(笑)
「ピクニック・アット・ハンギングロック」で名高いピーター・ウィアー監督は「ふと、そこにある異文化」(との交流や軋轢や違和感)を描くに長けた人だと思う。
レイチェル親子がアーミッシュの村から都会へ、息子が殺人事件を目撃、主人公ジョンが調べを進めるうちに警察内部に犯人がいることがわかり親子を連れて逃亡…迄で約30分。
銃傷を湿布とお茶で治すという無茶(笑)
中年に差し掛かったあたりのハリソン・フォードが今見ると若い。ハン・ソロの時のギラギラ感がまだ全然ある。
ケリー・マクギリスが美しい。(銃をキタナイものみたいにつまむのが可笑しい)
村の生活を一回りして次の30分が終わるが、ガレージやサイロ、鐘など、終盤のクライマックスに関わるものが全てここに出てきている。
アレクサンダー・ゴドノフはクセのあるハンサムの役(マネー・ピットの指揮者とかゴーストバスターズの魔王とか)の印象が強かったが、素朴な青年を好演。
納屋を建てるシークエンスは何度見ても楽しい。(ヴィゴ・モーテンセンもチラッと出ている)
終盤のアクションを別にして、納屋のシーンの祝祭感は全体のクライマックスともいえる。
「ジョンは明日、街に帰る」までで残り4分の1、きっちりした構成(起承転結)だなぁ…
夜明けの襲撃、承のパートでガレージ、牛小屋、サイロと巡ってるのでアクションの動線がよくわかる。サイロでコーンに埋まって窒息、はファイナルデッドシリーズにも出てこなかったイヤ死にだと思う。
解決のあと、複雑な笑みを交わして別れるジョンとレイチェル。村人同士にしか使わない「イギリス人に気をつけて」という挨拶を、最後にレイチェルの父がジョンに向かってかける。
「さよなら」とも「また来い」とも聞こえる言葉で、深い余韻を引いて物語は終わる。
簡素で清い「村」と混沌と汚濁の「街」という対比はちょっと紋切り型にも感じますが、やはり面白い作品でした。昔は「大人の純愛」に見えたジョンとレイチェルの関係が、けっこう若めのモダモダしたものだったと気がついたり。(レイチェル、子供小さいしヘタしたら20代?)
ピーター・ウィアー監督は初期では「誓い」、割と最近では「マスター・アンド・コマンドー」(これのポール・ベタニー最高)など素晴らしい作品多いのに、いまいち世間の評価低いような。現在81歳とのことですが、この年代で元気な監督たくさんいますし新作期待したいです。
たくさんの共感、ありがとうございます。
えふいーねこさんのレビューには、改めて気付かされることも多く、今後の投稿に期待いたしております。
引き続き、宜しくお願いいたします。

