「【汚れ無きアーミッシュの少年が目撃した、汚れに塗れた正義であるべき組織の行為。今作は、その組織に所属する”清廉な刑事”の行為を、アーミッシュの女性との仄かな恋を絡めて描いた逸品である。】」刑事ジョン・ブック 目撃者 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【汚れ無きアーミッシュの少年が目撃した、汚れに塗れた正義であるべき組織の行為。今作は、その組織に所属する”清廉な刑事”の行為を、アーミッシュの女性との仄かな恋を絡めて描いた逸品である。】
■夫を亡くしたアーミッシュの母親レイチェル(ケリー・マクギリス)の息子サミュエルが、旅の途中に殺人現場を目撃してしまう。
フィラデルフィア警察の刑事、ジョン・ブック(ハリソン・フォード)は、親子を保護しつつ、犯人を捜すがサミュエルが警察にいた時に、表彰されたマクフィー警部補の写真を見て、ジョン・ブックに犯人だとアイコンタクトで告げる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ご存じの通り、今作は、アメリカで独自の文化を保ちつつ生きるアーミッシュの人達の生活を描いた作品の嚆矢である。
・ジョン・ブックは、親子をレイチェルとサミュエルを妹の家に匿いつつ、サミュエルに複数の黒人の面通しを行う。そして、サミュエルが告げた犯人の顔。
・スピードの原料を横流ししていた麻薬課のマクフィー警部補と、ジョン・ブックの上司でもある本部長、シェイファー(ジョセフ・ソマー)らが繋がっていたために、ジョン・ブックは休暇に行っていた筈のマクフィー警部補に、警察署の地下駐車場で狙撃され大怪我を負うも、彼は二人をアーミッシュの村に連れて行く。
が、彼も大怪我の為に意識を失う。
ー ココからの、アーミッシュの長老たちが困惑しつつも、ジョン・ブックの願いを聞き、彼らなりに手当てをするシーン。ジョン・ブックのベッドの脇には、レイチェルが付き添っているのである。-
・傷が癒えたジョン・ブックは徐々にアーミッシュの人達と馴染んで行き、新婚夫妻の家の棟上げ式を手伝ったりするシーンが、作品に良きアクセントを与えている。
ジョン・ブックが正しい心を持った良き男である事が分かるし、アーミッシュの人達もそんな彼を受け入れて行くのである。
・ジョン・ブックとレイチェルがお互いに恋心を抱いて行くシーンも、美しい。雷鳴轟く中、レイチェルが湯で肌を拭いている姿をジョン・ブックが見つめても、レイチェルは大きな瞳でじっとジョン・ブックを見つめるのである。
そして、その後二人は激しく抱き合うのである。
■観光客で溢れるアーミッシュの町。アーミッシュの大切な財源の一つが、観光業である。だが、マナーの悪い若者達の行いに耐えるアーミッシュの若者の姿を見たジョン・ブックは思わずその愚かしき若者を殴りつけてしまう。そして、その情報は直ぐにシェイファーの元に届き、彼らはジョン・ブックを探しにやって来る。
ジョン・ブックは同僚のカーターに電話するが”殉死した。”と知らされ、怒りの電話をシェイファーの家に掛けるのである。
そして、ジョン・ブックは一名を、アーミッシュの穀物蔵で穀物を落とし窒息死させ、彼が持っていた散弾銃でマクフィー警部補を撃ち殺す。
愚かしきシェイファー本部長は、レイチェルを人質にしジョン・ブックと対峙するが、彼と共に集まって来たアーミッシュの男達の姿を見て、ジョン・ブックに屈するのである。
<今作は、ジョン・ブックが村を去るシーンも印象的である。恋仲のレイチェルに別れを告げずに一人静にアーミッシュの牧歌的な美しい村を去るジョン・ブックの姿。
40年も前の作品であるが、清廉な刑事とアーミッシュの民の姿と、汚れた警察の人間との対比も見事な作品である。>
■追記
良ーく、見ていると若きヴィゴ・モーテンセンがチラッと映ったりしているのも、少し嬉しいです。