「冷静なときに観れば、きっといい作品」クレイマー、クレイマー Chisaさんの映画レビュー(感想・評価)
冷静なときに観れば、きっといい作品
さて。
さてさて。
子供が生まれて早2年8ヶ月。そりゃあ色々ありますからね。
いっそ子供を置いて出て行きたいと思ったことは私にもあるさ。
一人で「自分自身を取り戻す」冒険を始めたいと思ったことも幾度となくあるさ。
でも結局離れない。
たとえ離れるという選択肢が目の前にあっても、拒絶する。
その差は一体、何なんだろうな。
きっとジョアンナは、そう長くはかからずに「自分自身」は取り戻せるだろう、取り戻して生活が落ち着いてから親権を主張しても、母親である自分に分があるだろう、と思っていたんじゃないかな。心のどこかで、許されるという確信に近い感覚を持っていた。
だって、ストレスや不満が爆発しそうになって勢いで飛び出てしまった、というようには見えなかった。息子に別れを告げて涙していたし、帰ってきた夫にも別れを宣言して日常の細々した指示を出してから出て行った。感情的になって咄嗟に、ではなかった。
戻ってきて笑顔で親権を主張したジョアンナを、都合いいなぁ、何を今更、と白けた目で見ていた私だった。彼女にも言い分は当然あるのだろうけど、勝手に去っておいて勝手すぎやしないか。
逃げ出した方が負ける。法的に、一時的には勝てたとしても、最終的には逃げ出さなかった方が勝つ。現に息子の気持ちは、18ヶ月の間に母親から離れてしまった。息子の母親であることより、自分自身の人生を優先させてしまった18ヶ月間。それはそれで間違っていない。母親だって人間だから、逃げ出すことも時には必要。でもその代償はいつか必ず払うことになる。窮屈だし、悔しいけど、それが子供を作ったことの責任。
こういうメッセージ、冷静なときは素直に受け取れる。
我慢してるのは母親ばっかりじゃないからな、と素直に思える。
いつも冷静で居たいっす。