劇場公開日 2021年5月21日

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「若い女性に翻弄された中年男性の悲哀」狂ったバカンス 星組さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 若い女性に翻弄された中年男性の悲哀

2025年9月20日
PCから投稿

人生に成功した男の淡い恋
金も、地位もある男の悲哀。
モノクロ映像は色に捉われず
男と若者たちの交流を描き
ひとりの女性を狙う男の下心
それを迷わすことなく見せる。

若者とのギャップを知る男
歳上をもて遊ぶ若者たちと
自爆に気がつかない中年の性

若者グループの一人に恋心を抱き
男はモノにしようと奔走する。
物語の途中途中に男の妄想を差し込み
軽く浮ついた内面を見せてくれる。

この1962年のイタリア映画は、カトリーヌ・スパーク演じる若い女性のサバサバした雰囲気と、どこまでも明るいスタイルに、男の哀しみは相手にならず、コメディ化している。

ほぼ同時期に、アメリカは「ロリータ」、日本は「月曜日のユカ」と、若い女性に魅了され狂う中年の男を描いた映画が制作されている。ロリータの女性は計算高く、ユカは心に闇を持っている。3本の映画で同じなのは、純粋な少女の心と大人の女性を匂わせる女性と、若い女性に魅了され、勘違いに翻弄され、狂ってゆく中年男性の姿があることだ。

カトリーヌ・スパーク演じるフランチェスカの最後の台詞が印象的。
男の最後の涙が短い日々を物語る。
中年男性の永遠の課題を語る映画のひとつ。

星組