クリーン、シェーブンのレビュー・感想・評価
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分かりづらく、世界観に入り込めなかった
主人公は統合失調症で、
映像や音声に所々不可解なものが紛れ込むのは症状の演出なんだという予備知識がないと、
何が起きているのかよく分からないと思う。
あらすじを読んでから鑑賞しても、主人公が今何をしているのか、
出会う人々とどんな関係なのかというストーリーの面が分かりづらかった。
71分とやや短めの映画なので、
もう少し尺を伸ばしてでも背景描写を丁寧にやれば、
観る方はより共感しながら世界観に入っていけたと思う。
「自分はクリーンだ(=おかしくない)」という真っ直ぐな台詞とその信念のもと、娘を探し回る姿は悲しく切なかった。
そして、ラストシーンの娘も胸が打たれる。
痛みと問い
どう捉えたら良いのか…扱いに困る作品でした。
監督は統合失調症の男の内面を描き、観客に疑似体験させ、問題提起を狙ったものと思われます。しかし、統合失調症=ピーターのような症状と決めつけてしまうのは短絡的だし、何より私自身が統合失調症ではないし、知識も無いので、この映画の演出が上手いかどうかの判断がつかないのです。困った。
監督もそうなることは承知の上で、入念に取材を重ねて、より正確な精神疾患の描写に注力したものと思います。だから観客は「そうなのか。大変なんだなぁ」と受け入れるしかないのです。監督は作品の捉え方を観客に委ねると言っていたそうです。
ただ、精神疾患に対する偏見を持った人が観たのであれば、それは大きな意味を持つと思います。この目を背けたくなるような痛々しくも苦しく、悲しい物語はあまりに強烈で、観た者の心に倫理的な問いをグサリと突き刺してくるから。
【”僕は、クリーンだ。と死に際に男は言った。”全編に漂う尋常でない不穏感が印象的な哀しき作品。観る側に与える心理的インパクトは非情に大きい映画である。】
ザラついた映像と、体液と、雑音。
【より現代に通じるもの】
この作品が制作された30年近く前より、この映画の意図は、今、理解されやすいかもしれない。
監督は、統合失調症というものを描き、人々に、それがどのようなものか理解してほしかったとインタビューで答えていた。
終始、ラジオのノイズのような音や、遠くなのに大きい音だったり、近くなのに小さな音だったり、ボリュームのバランスの悪い騒音などが流れ続け、頭の中を駆け巡る。
そして、巻き起こる悲劇。
当時、統合失調症を患う人の、何らかの救いになればと制作された映画だが、情報が溢れ、ネットの攻撃的なやり取りが止まない現代社会こそ、統合失調症を患っているようならもので、この作品に通じるものがあるように感じるのは僕だけではないだろう。
決して、キレイにならすことなど出来そうにない。
敵は何処に
わかりにくい点もあるので、公式サイト事前予習必須。
今年111本目(合計175本目)。
まず、「シェーブン」 shaven は「ひげをそる」という意味の動詞。cleanは「きれいにするですね。まずここを知らないと、「シェーブン」という人が出てくるのかな?という点で混乱しそうです。
統合失調症をテーマにしているため、「その意味で」ストーリーは支離滅裂であり、もっぱらその症状も描かれるため(妙にラジオの天気予報に興味を持つなど。ストーリーの4割近くはラジオで天気予報を聞いてる)、こういう精神疾患の方もいる、という点を理解しないと、何がなんだかわからず、最後まで理解不能ではないか…と思います。
もっとも、多少なりとも前日に予習しましたレベルでも、やはり統合失調症の患者さんを扱う映画ですので、「結果的に」ストーリーが支離滅裂である点は仕方がなく(逆に、その主人公なのに思考がクリアで、何の問題もないがいきなり不穏当な発言を「突如」始めるほうが混乱する)、この点は問題視しませんでした。
※ そもそも、この映画、現在ではシネマート新宿/心斎橋でしかやっていないそうです。
ただ、下記の点が明確に気になりました。最悪、映画館とのトラブルを引き起こしかねないので、いくら「こういう内容を扱う問題提起型の映画」といっても、トラブルを引き起こしかねない内容は事前に断りを入れるべきだろう…と思います。
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(減点0.3) 先にも述べた通り、統合失調症の患者さんがテーマの映画です。そしてこの疾患は(この映画の中では、ストーリーの最後まで)治りません。
これが実はエンディングにまで入り込んでいて、エンディングクレジットのいろいろな箇所(場所は移動する)が意図的に隠れたりする「放送事故」的な描写があります。
私は眼鏡持ちなので、眼鏡が壊れたのか…と思ってふいたり、別の角度から見たくらいです。
そのあと「ご視聴ありがとうございました」みたいな(シネマートの)画像が1枚でますが、そちらはいたって普通なので、反対解釈すればその部分(エンディングのクレジット部分)だけがそういう描写になっていたことになります。
さすがにこれは混乱するというか、シネマート新宿/心斎橋さんはどちらもミニシアターで、ミニシアターならではの苦労(維持の大変さ)もあるので、観客側は放送トラブルか?と思い込んでも仕方がなく(大手の映画館だとまずないですが…)、もちろんこのシネマート系は映画館とお客さんの距離感が近い映画館スタイルなので、実際にトラブルになることはないと思いますが、大手の映画館でやると苦情が来るんじゃないか…と思います。
この点に関しては、最初に「エンディングの描写は意図的なものです」くらい、最初に入れておくべきだったのでは…(トラブル防止。日本で放映される映画で統合失調症を扱った映画はいくつかあるが、その疾患のため「ストーリーが支離滅裂」、という類型は多くても「エンディングロールまでおかしい」という映画はなかったはず)というところです。
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正直かなりキツイ
25年ぶりの衝撃
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