劇場公開日 1968年5月1日

「ヒッチコックが悔しがったに違いない」暗くなるまで待って あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ヒッチコックが悔しがったに違いない

2019年3月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

オードリー・ヘプバーン38歳
美しい、見とれてしまう
それなりに歳を重ねて全盛期の張りのある若さは失われているのは否めない
しかし、歳相応の大人の女性の美しさがある
超アップに耐えるどころかいつまでも見つめ続けていたいほど
その美しい顔が、盲目で困惑したり恐怖で歪む
か細い身体と相まって庇護したい
なんとか助けたいとの思いで画面に釘付けにされてしまう
その為衣装も体の細い線を強調したセーターとパンツルックを纏う
身体のラインはいささかも崩れてはいないのを誇示している
クライマックスのシーンではパンツをスカートに 履き替えさせてより無防備さ弱者さを強調している
監督の狙いは大成功しており、その意図をオードリー・ヘプバーンの素晴らしい演技が見事に達成に導いている

その他にもアラン・アーキン演ずる悪役が凄まじい
普段は至って余裕で平静
一人三役まで演じてみせる
しかし、クライマックスになってナイフをもった時に爆発的に恐ろしい本性をみせる
オードリー・ヘプバーンの足をつかむシーンには飛び上がった
すばらしいモンスター級の悪役の造形だ
現代の目から見るとありがちかも知れないが当時としては観客が初めて見るモンスターではなかったのではないだろうか

元は舞台劇だけにほとんど主人公のアパートの一室の内部だけで物語が進行する
そして主人公が盲目の女性という設定
ヒッチコックが悔しがったに違いない
暗くなるまで待ってという題名の意味がそうであったのか!と盲目と狭いアパートという設定が見事に活かされているからだ
利用される小悪党の二人組を自分ならもっとユーモアとウイットを効かせるのにと思ったかも知れない

もっと評価されても良い良作だ

あき240