劇場公開日 1986年7月26日

「女性とは何かを考えさせられる映画だ」蜘蛛女のキス あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0女性とは何かを考えさせられる映画だ

2018年11月28日
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ゲイとテロリスト
交錯する筈のない二人が強制的に交差させられる
蜘蛛女の例え話がゲイのテロリストへの心情
続く愛の告白と、それに応えて抱き寄せるテロリスト
蝋燭の火が消され、小さな赤い芯だけが画面に映る
前半に展開されるテロリストへの献身的な面倒見が、強い男であらねばならない強迫観念に疲れはてた男を癒していく
疲れはてた男に必要なのは優しい女性の心であって、物理的な女性の肉体ではないと言うところにテロリストは遂に辿り着いたのだ

女性であるか否かということは、その心が女性的な優しい心かどうかであって、肉体の差異ではない
これが本作のテーマであった

毒を盛られて便を漏らしたテロリストを甲斐甲斐しく面倒をみてやるゲイはまるで子供の面倒をみる母のように優しい
愛の告白を受け入れられ、肩を預け甘える姿
女性以外の何者でもない

苛烈な闘争に神経と肉体すり減らした男に必要なのは、その精神を支えてくれる女性の心なのだ
女性としての肉体よりもそれが必要なのだ
それこそを渇望しているのだ

前半の映画の話は、テロリストの背景を我々が理解する為であり、同時にテロリストの精神を支える女性としてのこまやかな支えの為の懸命な行動であったのだ

保釈され出所するゲイとの別れのキスは、男と男の強い握手に勝る、愛の信頼関係による誓いだ

ゲイは愛の為に死ぬ
そして女性の支えを失ったテロリストが拷問の苦しみから逃げこんだラストシーンの幻想はあの蜘蛛女の南洋の島であった
そう後半は壮絶な愛の物語であったのだ

男には女性が必要だ
けれども女性は肉体的に女性であるからといって、本当に女性なのかどうか
貴方は男に女性の心を与えられるのだろうか
うかうかしていられないのではないだろうか

あき240