靴みがきのレビュー・感想・評価
全3件を表示
少年二人が翻弄されていく過程を丁寧に描く
監督ヴィットリオ・デ・シーカ、脚本のチェザーレ・ザヴァッティーニ 1946/伊
少年二人の輝く美しい瞳が素敵だ。二人は温かい友情を育くんでいた。冒頭の馬を軽やかに走らせるシーンが素晴らしい。生きる喜びと楽しさに溢れている。彼らは貧困にあえぎ、片方は孤児だが、靴磨きをして金を貯め、寝る場所がないことも気にしない。
しかし楽しい時は去る。二人は図らずも犯罪に巻き込まれ、収容所では無抵抗に現実に揉まれていく。 二人の間に溝が生まれる。希望と友情の象徴だった馬は、裏切り、妬み、憎しみの指標となってしまった。
大戦後の混乱で貧困や犯罪が蔓延していた頃。しかし冒頭部分で感じたが、子どもには柔軟性があり、貧困や孤児という境遇の中でも、明るく生きる力を持っているのかもしれない。限界はあるだろうが。問題なのは、彼らの周りの大人社会のあり方なのだろう。余裕をなくし理想を捨て、他人特に子どもへの配慮がない利己的な大人の世界に巻き込まれれば、子どもたちの人生も変わっていく。
捉えにくい繊細なものを上手に描いていると思う。暗い作品だが、希少価値のある映画では、と思った。
政治や思想は全く入り込んでもいません レアリズムそのものです これこそネオレアリズモの映画です
1946年4月27日公開
イタリアの降伏は1943年9月8日
とは言えイタリア戦線はドイツ軍と連合軍の戦いが続いており、戦いが終わったのは1945年4月29日のこと
つまり終戦から丁度1年目の公開です
同じ敗戦国の日本も物資のない中でも、何本か映画を公開しています
しかし日本では、本作のように占領下の世情を主題にした映画を撮るのはもう少し後になるようです
巨匠ヴィットリオ・デ・シーカのネオレアリズモの最初の作品です
馬は夢と希望の暗喩です
戦後の復興の中、子供達の将来の夢を重ね合わせた存在です
結局誰にも救いはなく、川に落ちて死んでしまう親友のように、夢や希望もないまま映画は終わります
それが現実であるのです
どうしようもない、抗うこともできない社会の現実
政治や思想は全く入り込んでもいません
レアリズムそのものです
これこそネオレアリズモの映画です
名作です
戦後の状況は現代の反社会的勢力世界と同じ?
全3件を表示