靴みがき

劇場公開日:

解説

戦後の混乱期にカメラを据えたこれは監督ヴィットリオ・デ・シーカと脚本のチェザーレ・ザヴァッティーニのコンビによるネオレアリズムの傑作である。

1946年製作/93分/イタリア
原題:Sciusucia
配給:イタリフィルム=東宝
劇場公開日:1950年3月21日

ストーリー

パスクアーレ(フランコ・インテルレンギ)とジュゼッペ(リナルド・スモルドー二)の二人の少年は大の仲よし。占領軍のいるローマで靴みがきをやりながら貧しいが元気いっぱいに生きている。二人の夢は貸馬屋の馬を買いとることだった。お値段が五万リラ。せっせと貯めこんだ金が三万三千五百リラ。未収分があって、すでに四万四千七百リラある。目標にもう一息だ。靴みがきだけでこんなにたまるはずはない。ジュゼッペの兄をリーダーとする占領軍闇物資の横ながしに協カしてもらった金だ。ある日、いつも通りにアメリカ製毛布をもって女占い師の家に売りに行った。そこヘ兄と仲間が警官に化けて現れる。手はず通りに成功。二人はそれでもらった金を足して、早速馬を買い得意になって乗りまわした。翌日、警官同道の女占い師に見つかり二人は共犯容疑で捕まった。占い師はあの時七十万リラも盗まれていたのだ。未決のまま少年拘置所へ。二人の監房生活がはじまった。取り調べがはじまり、二人は約束通り口を割らなかった。しかしパスクアーレはジュゼぺが拷間されているものと思い、ついしゃべってしまった。ジュゼッペは怒り、二人の友情はこわれた。そのうえジュゼッペは同房の少年と脱獄。パスクアーレは彼が馬を預けたところ行くと思い、刑事たちと向った。案の定そこにジュゼッペを発見したパスクアーレは怒り、誤って彼を殺してしまう。

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映画レビュー

5.0政治や思想は全く入り込んでもいません レアリズムそのものです これこそネオレアリズモの映画です

2021年10月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1946年4月27日公開
イタリアの降伏は1943年9月8日
とは言えイタリア戦線はドイツ軍と連合軍の戦いが続いており、戦いが終わったのは1945年4月29日のこと
つまり終戦から丁度1年目の公開です

同じ敗戦国の日本も物資のない中でも、何本か映画を公開しています
しかし日本では、本作のように占領下の世情を主題にした映画を撮るのはもう少し後になるようです

巨匠ヴィットリオ・デ・シーカのネオレアリズモの最初の作品です

馬は夢と希望の暗喩です
戦後の復興の中、子供達の将来の夢を重ね合わせた存在です

結局誰にも救いはなく、川に落ちて死んでしまう親友のように、夢や希望もないまま映画は終わります
それが現実であるのです
どうしようもない、抗うこともできない社会の現実
政治や思想は全く入り込んでもいません
レアリズムそのものです
これこそネオレアリズモの映画です

名作です

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あき240

2.0戦後の状況は現代の反社会的勢力世界と同じ?

2020年7月18日
スマートフォンから投稿

この映画を観てふと思った。
戦後の状況は現代の反社会的勢力の世界と変わらないではないかと。
このストーリーをそのまま現代の反社会的勢力の世界に置き換えが可能な気がした。

ストーリーのほとんどが(少年?)刑務所内の話で、「自転車泥棒」のように戦後の世相の描写がかなり少なく、描かれる混沌した状況が戦後の一般社会と現代の反社会的勢力世界との相似の方に意識がいってしまい、戦後ネオ=リアリズムの代表作と言われても戦後の雰囲気を感じとれない分「自転車泥棒」のような感動が薄くなってしまった。

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